社保税関係で経済連携関係の議論がなかなか動きません。これから「経済連携に伴うデメリット」と議論するところでして、ここは個人的に思いのあるところだったのでちょっと残念ではあります。
ただ、これまでも何度もここに書きましたが、私が思うに「あれが心配だ、これが心配だ」と心配材料をたくさん挙げても意味がないのです。それは特定分野に関心の強い人には受けると思いますけども、交渉そのものから見ればあまり意味のないプロセスです。そして、そういう意味のないプロセスに結構時間が取られます。
経済連携には関税分野とルールの分野があります。関税の分野は突き詰めれば「どのレベルまで、どの品目で、どういうタイムフレームで関税撤廃を行うか」と「それに伴う国内対策」に尽きるわけでして、構造自体はとても単純、政治的には超難関というところです。これは既に何度も書いているところでして、ハイレベルなものを目指しましょうということに尽きます。
ルール分野はちょっと違います。それぞれが性質が異なるため、複雑な様相を呈します。そこで今回のエントリーでは「多数国間経済連携のルール交渉に臨む五原則(案)」というものを提示したいと思います。以前は内国民待遇+相互主義だけで一度書きましたけど、少し数を増やして五原則にしています。
1. 全体はパッケージ(single undertaking)
ルールの個別分野の中の得喪に閉じこもらない。常に交渉全体(含む関税分野)のバランスの中で判断する。
(注:交渉全体でバランスを取りながら利益・不利益を判断しようという極めて当たり前のことだと思いますが、某省はこれに反対します。どうも、「うちの業界を犠牲にしながら、他分野成果を得に行こうとする邪悪な構想」だと思っているようです。しかし、そういうことを言うから日本はダメなのです。)
2. 最恵国待遇(most favoured nation treatment)
特定の国のみに対する譲歩はしない。
3. 内国民待遇(national treatment)
外国人、外国企業に日本人、日本企業と同等の扱いが確保されている場合は譲歩しない。
4. 相互主義(reciprocity)
ルール交渉の成果が特定の国に有利となる場合は、常に同等の譲歩を当該国に求める。また、現行の約束の度合いに差がある場合は同等まで譲歩を求める。
5. 新興国対応(developing countries)
新興国、途上国等、その名称に関わらず、特別の扱いをしない。
私からすると「これだけを厳格に順守して交渉に行って来い。そして取れるものを取ってこい。」というふうに背中を押してあげることが政治の役割なんだろうと思います。チマチマと個別分野で「空が落ちてこないだろうか」と言わんばかりに神経質になっても、交渉は生き物ですから意味がないのです。
なお、上記の基準で意図的に一つ落としているものがあります。「日本固有の制度」についてです。例えば、共済、新聞等の再販制度等がそれに当てはまります。諸外国に存在しないが故に、どうも何を以て内国民待遇と呼べばいいのかも難しくてですね。ここはむしろ「走りながら考えよう」くらいでいいと思います。
交渉って、この程度の準備でいいと思いますけどね。現状と将来をすべて知り尽くさないと交渉に乗り出せないというのであれば、それは交渉とは呼びません。そんなやり取りは、開始した瞬間に終わるでしょうから。