経済連携協定の内、実は国内で懸念が高いのはルールの分野です。色々な懸念が表明されています。党内でも議論が高まっています。


 私は個別分野についてはあれこれと論評しません。「あれが心配だ」、「これが心配だ」と言い始めてしまうとキリがないからです。その懸念の中には根拠のあるものから単なる杞憂になるものまで色々とあります。


 私は分野横断的に基本的な方針をまず決めるべきだと思います。私の考える軸は2つ、「内国民待遇」と「相互主義」です。内国民待遇が確保されているものは譲歩しない、相互主義が確保されないものは譲歩しない、これだけです。


 つまり、日本人や日本企業と同等の待遇を既に与えているものについては譲歩しないということでして、例えばガン保険の販売をアメリカの企業にのみ有利になるようにするようなことはやらないという意味です。あくまでも国内企業とのイコールフッティングが基本です。昔、大学のゼミで石黒一憲教授が「no less favourableはmore favourableではないんだ。(more favourableを与えようとしている)日本はおかしい!」と力説していたのを、20年弱の時を超えて思い出します。そして、相互主義については、日本に何かを求めるのであれば同等のことを当然相手に求めるし、それが出来ないのなら日本は応じない。いずれも当たり前のことであり、多くの方は「そんなに当然だろ」としか思わないでしょう。しかし、この程度の方針ですら存在していなかったからズルズルとこれまで来てしまったのです。


 経済連携のデメリット(の可能性があるもの)は多種多様です。だからこそ、個別テーマに落ち込んでしまってはいけなくて、まずはこの「内国民待遇」と「相互主義」という背骨の部分、これを党内議論でも押し込んでいきたいなと思っています。