フランスの首相はジャン・マルク・エローでしたね。私の予想は当たりませんでした。素直にお詫び申し上げます。本当に私の予想なんてのは全然当たりません。


 しかし、閣僚経験のない大統領と首相とはちょっと驚きでした。フランス人から「日本も政権交代後はそうだっただろう」と言われると、まあ、そうなんですが。エローはドイツ語の教師免状を持っていますし、対ドイツ世論的にはいいかもしれません。


 外相はローラン・ファビウス。28年前に首相を経験していますし、国会議長、財務大臣の経験もあります。フランス社会党の中では最もインテリの人物です。ファビウスと話を合わせるのは相当な知恵と知識がないと難しいでしょうね。財務相はピエール・モスコヴィシ、まあ順当ではないかと。


 それ以外になってくると、社会党は大統領与党としては17年ぶり、保革共存時代から見ても10年ぶりですから、正直なところよく分かりません。やっぱり、外国から見ているとどうしても与党議員や閣僚ばかりが目に付くので、野党社会党の政治家というのはよく分からないのです。パッと見た感じでは「スター閣僚がいないな」という印象です。とても地味な印象を受けます。


 興味深いところで言うと、中小企業担当相のフルール・ペルラン。この方、韓国系ですね。親から放棄され、フランス人の養子として育てられたみたいですから、トリノ・オリンピックのスキーで銅メダルを取ったアメリカのトビー・ドーソン(同じく韓国系)の時と同様に、これから「実は私が本当の親です」みたいな変な盛り上がりが韓国内で起こったりしないのかなと懸念しています。国立行政学院を出ているから相当な才媛なんだろうと思います。なお、日本語がお出来になるみたいです。


 あとは映画監督として有名なヤミナ・ベンギギが在外フランス人担当相で入っています。人種差別関係の映画監督として有名な方です。「へぇー、ベンギギが閣僚かぁ」とちょっと不思議な気分ではあります。


 私(1973.1.8の39歳)より出生が後の方が7名(大臣3名、担当大臣4名)。その内、6人が女性です(大臣3名、担当大臣3名)。まあ、私もそんなに若さを売りにできる歳ではないのですけども、彼我の差にはちょっとだけ羨ましいものがあります。なお、上記のペルラン担当相も私よりお若いです。


 ちなみに、この内閣はとても暫定的なものです。どういう理由かは何となく分かるのですけど、大統領選挙があって、その後に国民議会議員選挙がある時は、まず暫定的な内閣を組んで、国民議会議員選挙が終わったら一度必ず内閣改造をします。1981、1988、2002、2007がそれに該当しますけど、すべからくそうやっています。「大臣にしてやったのだから選挙に勝ってきなさい」ということなのでしょう。そして、選挙で落選すると内閣改造の際に閣僚から外されることになります。


 もう一つは、国民議会議員選挙が終わった段階での議会での勢力図を見ながら、閣僚ポストを調整するという意味合いもあります。今次エロー第一次内閣には共産党やジャン・リュック・メランションの勢力は入っていません。これまた「選挙の結果を見させてもらう」ということになります。ということで、6月の国民議会議員選挙後に改造されて出来るエロー第二次内閣からが本格的な出発になります。


 そろそろ、国外の論評ばかりやっていると世捨て人みたいに見えるので、今後しばらくはまたこのブログも内政と日本外交に戻りたいと思います。