国会議員の仕事の中で花形と言えば、委員会での質問だと思います。やはり、未来永劫議事録に残りますし、衆人の中でやるというのはそれなりに緊張感があるものです。私は当選直後はボケっとしていたので回数があまり多くありませんでした。しかも、予算や決算の分科会ばかりでして、いわゆる多くの議員が聞いているところで質問を初めてしたのは去年の8月。まあ、その後はポツポツやらせていただいていて、今は8回くらいだと思います。与党の一年生としては多くもなく、少なくもなく、といったところでしょう。まあ、出番が少ないのも考えものなので、最近は(委員会質問とはちょっと趣が違いますが)憲法審査会では毎回口を開くことにしています。


 この国会での質問、事前に質問通告をします。これが「出来レース」ではないか、とのご批判を受けることがありますが、実際にやってみるとそうでもありません。ある程度、質問を通告しておかないとオタクなテーマには答えられませんし、仮に通告していても、本番では質問者も答弁者もそれなりにあれこれ考えながらやっているものです。


 ただ、昔、外務省にいた時代に何度か「外務委員会に質問に立つのだが、何を聞いていいのかがよく分からないので質問を作ってくれないか。」という要望を受けました。時には「ついでに答弁もどんな感じなのか、予め見せてくれ。」と言われたこともあります。当時、課長補佐だった私がある程度お膳立てをして、課長がその質問案と答弁案を持って、その議員のところに説明に行きました。シナリオライターとして、委員会本番を私は役所のテレビで見守っていたわけですけども、気分は映画監督みたいなものでして、「はい、○○議員、問1、キュー」、「そして、ここで大臣答弁、キュー」とか勝手に合いの手をテレビに入れていました。すべてシナリオ通りいくかどうかを確認するだけの寂しい作業でした。こういうのはアホらしいだけなのでダメです。


 私が国会での質問について、他のどの国会議員よりも自慢できるのは「質問出しが早い」ことです。最近は質問者として指名があってから、どんなに遅くとも2時間半以内にはすべての通告プロセスを終えるようにしています。質問者に決まったら、すぐに内容を考えて、それを国会の委員部経由で役所に伝え、役所から人が来て、質問内容を伝える、その2時間半の中で一番時間がかかるのは内容を委員に伝えた後、役所内で担当部局に割り振り、人が来るまでの間でして、電話会議システムみたいなものが整備されるのであればもっと早くすべての通告を終えられます。


 まあ、じっくり質問内容を吟味することも必要ですから、あまり私みたいにパッと思いつきで質問するのは本当はよくないのでしょうけども、国会議員たるもの、普段からある程度は「チャンスがあったらこういうことを聞いてみたい」と引き出しを幾つか持っておくことは必要だと思います。どんな委員会であっても、質問したい内容が2、3つくらいは持っておきたいといつも思っています。私はこれを「全然知らない歌でも強引にカラオケで歌えるようにしておく」と形容しています(現実とはちょっと違いますけどね)。


 というのも、役所は次の日、所管委員会が開催されることが分かると国会待機がかかるのです。概ねこんな内容ということが分かっていれば、待機させる部局は限定されるのですけども、それが全然わからない場合は全省待機みたいなことすらあります。いつ出てくるのかも、そもそも自分の部局にあたるのかもわからない質問のためにただ無為に過ごしていくのは辛いし、無駄なのです。全省待機がかかると、恐らくは数十名から100名単位で待ちます。それを非効率と呼ぶこともできますが、どの課に当たるかが分からない状況ではある程度は仕方ないところがあります。そういう経験があるから、私自身については「自分のせいで残業が増えたと言わせない」ようにしています。


 50人が待機して、時給1000円で計算しても、2時間で10万円です。その10万円は国民の税金です。深夜ギリギリで質問を出してきたりされると、深夜タクシー代までそれに加算されてしまいます。行政改革を唱えるのであれば、議員はのんびりと質問通告するようなことがあってはなりません。最近は知りませんが、昔は「○○議員が夜の会合中でなかなか質問通告の時間帯が決まらない」と行ったことがありました。「なんで、あんたの酒飲みの時間、こちらが待ってなきゃいかんのだ。」と若い緒方課長補佐はぶーぶー言っていたものです。


 私は国会改革の一環として、質問者として指名されてから質問通告が始まる(「終わる」ではない)までの時間をすべて公開するというのをやってみればいいと思います。上記のような話を知っている国民の方はとても少ないでしょう。ただ、これが公開されるようになると、やはり国民の皆様の眼があるので急ごうというふうになります。これだけで中央官庁の残業代の結構な削減につながることは請け合いです。


 「行革を語る議員は、国会の質問出しを早くやるべし」、常に貫いていきたいと思うことです。