党の行政改革調査会で公益法人WTの事務局長をやっています。座長は白眞勲参議院議員、長年のお付き合いがあるのでとてもやりやすいです。また、柴橋正直、長島一由両議員や他WTの事務局長として議論に加わってもらっている後藤祐一議員も交えつつ、正直、とても良い議論をしていると思います。


 公益法人というのは世に数多あり、国、地方自治体と相当な数があります。本当は民間団体であり、あまりガチャガチャ言うべきものではないのでしょうが、いわゆる政府系公益法人と言われるものが多々あります。国から予算をたくさん貰っている、国から権限を付与されている、そういった公益法人に天下りが法外な給与を貰いながら存在していることに対する世の批判というのはとても強いものがあります。その国民各位のご批判をどう制度的に繋げていくかで侃々諤々やっています。


 実は既に公益法人については2008年に改革が法律化されており、現在、その改革に基づいて(今の)公益法人を「(新)公益法人」と「一般法人」にそれぞれ移行させていくプロセスがどんどん進んでいます。新しい公益法人は、勿論公益性の認定を受けることで税制等での優遇を受けるわけですが、これまでの主務大臣制度を止め、かつ国からの関与は指導ではなく、(法令に基づく)監督のみとなります。国としての関与はかなり下がると言っていいでしょう。ただ、国との関わりはきちんと担保されています。ここに色々なかたちで、国として改革をしていくことはできます。


 ただ、難しいのが一般法人なんです。この一般法人、何とも言えない存在でして、国から直接及ぼすことができる権限は殆どなく、かつ設立も登記のみで出来るとなっています。限りなく株式会社に近い存在だと言っていいでしょう。


 しかしですね、現在の公益法人の中でヒト、カネ、モノで国とズブズブの関係にある法人が、移行を経て、ズブズブの状態を保持したまま一般法人になったとしましょう。その時に「いやぁ、あれは一般法人ですからね。ズブズブかもしれませんけど、もう何も手が出せないんですよ。」なんて言って、天下りから怪しげな資金の流れからすべて放置しようものなら、私は公益法人WTの事務局長としてアホ扱いをされるでしょう。この部分で今、とても悩んでいます。無茶をすると訴訟を起こされ、負けてしまうかもしれませんし、そもそもこれは憲法における種々の自由との関係すら出てくるテーマです。


 そう考えると、2008年の公益法人改革、ズブズブの関係を保持したまま(今の)公益法人が一般法人に移行していく可能性とその帰結にあまり手が着いていなかったことがちょこっとだけ恨めしくなります。どんな議論があったのかは詳しくは知りませんけど。


 ところで、これは今次WTの射程ではありませんが、この一般法人、特に一般財団法人については別の懸念があります。それは「相続や贈与の脱税の温床になるのではないか」ということです。登記だけで設立できる法人で、国からは遠いところに居る存在ですから、悪いことに使えそうなのです。


 私がそろそろ人生の最終局面を迎えようとしている時に巨額の財産を持っていたと仮定します。相続税も贈与税も払いたくない私は、一般財団法人「りんちゃんの会」を作り、設立時にガンっとすべての財産を積むとしましょう。理事会、評議員会はすべて同族で固め、意思決定は基本的に同族で牛耳らせます。そして、私が死亡した後であって、上手くその一般財団法人の活動として色々なことにお金を支弁していけば結局、相続税や贈与税を払わなくてもよくなってしまいます。かつて、政治団体で類似のことをやっていた政治家一族がいましたが、これからはこの一般財団法人を経由しながら、似たようなことが誰でもできるようになるのではないかということです。ちょっと気になっているんですよね、これ。


 まあ、最後の点はともかく、公益法人改革は行政改革の中でも大玉の部類でしょうから、きちんと成果が出せるように頑張ります。