連邦議会議員はどんな地元活動をしているのか、みたいな話はどうしても関心があります。勿論、駅前での街頭演説をやっているわけでなく、幟を自転車に立てて走って街頭演説をするわけでなく、ポスターを貼るために戸別訪問をやるわけではありません。日本的な政治活動は、日本社会に根差す非常に特殊な要因に影響を受けているわけですが、かといって話を聞いていくと、アメリカにおいても「まあ、それ程差はないな」と思わせられることが多いです。
ツールとして考えられるのは誰でも何処でも同じで、ニュースレターの発行、メールでの近況報告、地域毎に行う集会といったことが多いようです。また、「あなたの声を聞かせてください」的なハガキも使われていました。あと、「国会見学アレンジいたします」的なことが書いてあるビラを見た時は、「アメリカでもそういうのってあるのね」と変に納得してしまいました。
ニュースレターについては、全戸に郵送している方もいました。連邦下院選挙区の人口は全国どこでも概ね65-70万人前後です。ニュースレターを全戸に郵送しようとすると、1戸あたりの郵送コストは割引で22セントらしいので、それでも一回郵送するだけで1000万円近くかかります。やっぱりカネかかるよな、と思わずにはいられませんでした。
「これは珍しいな」と思ったのが、「電話会議形式での集会」です(特定の電話番号に電話すれば電話会議にどんどん入っていけるシステム)。これだと自分(議員本人)が何処にいても実施できるのでやりやすいです。その議員は、予め選挙区の中の特定の地域の人に「この時間から電話会議やりますので、お時間のある方はこれこれの番号で加わってください」とアナウンスしておくそうです。100-数百人規模で参加していただけるようで、地元の話、国政の話、色々出てきます。質問の交通整理が大変でしょうけど、自分が話していることはすべての参加者に伝わるし、参加者は質問する気がなくてもやり取りをすべて聞くことができるということでなかなか有益です。ただ、日本でこれは流行らないでしょう。「手を抜いている」とお叱りが来ること必定ですから。
選挙区が広い議員と狭い議員の差も日本と同じでした。ある議員からは「選挙区が狭いから、事務所が一つでいいのはありがたい。広いと事務所経費は嵩むし、移動だけで大変ですから。」と言われました。それは狭い選挙区選出の私にはよく意味が分かりました。あの面積の広いアメリカですから、下手すると選挙区が北海道よりも遥かに広い議員もいるはずです。
あと、連邦議会は火水木が採決になるので、大体月曜から木曜くらいまでがワシントン、それ以外が地元という感じで、月曜日の朝か午後一くらいでワシントンに行き、早ければ木曜夜、遅くとも金曜中には地元に戻る。これは全くと言っていいほど、行動様式が同じでした。もう少しワシントンにベタっと貼りついたりしているのかと思っていました。
ただ、これは違うと思ったのは事務所が小奇麗なのと、スタッフの数が多いことですね。別に私の事務所はきちんと掃除されているし、変なものも置いていませんが、どうしても器材の関係でゴチャゴチャ感はあります。そういうのは、アメリカのみならず外国には殆どないです。スタッフの数についてはスタッフの給与として国から割り振られる金額が総額で億単位のアメリカですから、そこはどうしても差がついてしまいます。ワシントンと地元とで20人以上のスタッフを擁する議員は山のようにいます。
結論は簡単でして、基本的にこの業界に居る人は似たようなことを考える、ただそれだけです。陳腐過ぎるくらい陳腐でした。