街はすっかり年の暮れになってきました。イルミネーションがあちこちにあって、そこを若いカップルなんかが歩いていると、それを微笑ましく見ているおっさんの自分がいるのに気づかされます。


 役所時代はクリスマスというといつも散々でして、「虎ノ門天狗」で過ごしたこともありましたし、酔いが回りすぎた上司のレスキュー隊をやったこともありました。「彼はさすがにクリスマスなんか、何の用事もないだろう」と思っていた後輩が、「じゃ、緒方さん、今日は私もこれで。用事がありますので。」とそそくさと私を取り残して退庁していったのも懐かしい思い出です。


 そんな中、あるところで懐かしい(けど、実体験に基づかない)曲が耳に入ってきました。Sheriffというグループの「When I'm with you」という曲です。この曲、元々は1982年にレコーディングされていて、母国カナダではそこそこヒットしたのですが、アメリカでは泣かず飛ばず、結局バンドは解散。その後、1989年に何故かアメリカで火がついて大ヒットになったという経緯があります。リード・ボーカルは1989年時、ピザの配達員で食いつないでいたという逸話が残っています。


 まあ、いわゆる「一発屋(One Hit Wonder)」の類なんですが綺麗なバラードなんですね。音質がよくて英語の歌詞が付いているのはココ です。和訳が必要な方はココ を見てください。現代のミュージックシーンからするとちょっと古臭い感じがありますけども、その古臭さが逆にいいと思える方は多いのではないかと思います(特にアラフォー世代)。


 ちなみに、このSheriffの一部のメンバーはその後、Aliasというグループで「More than words can say」 という曲をヒットさせています。ただ、ちょっとこちらは「狙いすぎ」な感じがして好きになれません。


 1989年といえば、私は高校二年生。この曲を聴いて抱いた勝手な妄想を持って、1991年に上京してきましたが、結局最後までそれは妄想でした。ただ、久しぶりにこの曲を聴いて、そして有楽町や表参道あたりを歩くカップルを見ると、すべてのカップルの末永い幸せを願いたくなります。そんな衝動が起きること自体、私も年をとったのだろうと思います。