10月26日の財務金融委員会で質問に立ちました。


 前半は国債整理基金特別会計の話でして、これは何度かブログに書きました。財務大臣が答弁で引用してくれているということは、私の認識は基本的なところではあまり変なことを言っていないのだと思います。まあ、将来に確実に借金の償還に使われるのだから、今、それを取り崩すといったことは適当ではないということです。そういうと「過去に取り崩したではないか(基金への繰り入れをしなかったではないか)」という指摘があるのですけども、これは財政状況が今とは全く違う時代のことでして、それを出しながら、今の厳しい財政運営の時に同じことをしようというのは筋違いだと思っています。


 後半は説明するのが極めて難しいのですが、地方財政に関する大きなテーマです。地方財政というのは、まず地方財政計画を立てて、それに対して地方税、地方債、国庫支出金等を差し引いた後に残るギャップ分を埋め合わるところからスタートです。ただ、そのギャップの埋め合わせについても、国税できちんと全部賄えればいいのですが、実際には国も税金が足らないので埋め合わせきれないところは国と地方で折半することにしています。この地方分が臨時財政対策債ということになります。結局、ギャップ分のうち、国税分+種々の加算+折半の国分が大まかに言って地方交付税ということになります。


 この大本の地方財政計画ですが、よくよく見てみると決算よりも予算の方が大きく出ているという現象があります。決算は実際にどうやって使ったかということでして、それよりも予算の方が大きいということはそもそも、地方財政計画(予算)が過剰に見積もられているのではないかというのが問題意識です。


 この質疑では幾つか問題提起しているのですが、一つ目は決算を見ているとそもそも地方公務員が加配されていたり、給与水準が高く設定されているために決算が見た目の上では大きく出ており、予算との比較ではこれを外して考えるべきではないかということです。まあ、地方が公務員を計画以上に加配していることを一概に批判すべきものだとは思いません。地方からすれば、その加配分は本当は計画に乗せたいけど乗せられないのであって、もっと地方財政計画での地方公務員の数、給与を正確に見積もってほしいという反論になるでしょう。ただ、この分だけで1兆円近いわけですから、それを当然視していいわけではありません。総務省や地方はきちんとしたアカウンタビリティーを持つべきだと思います。


 二つ目は、総務省は地方税収が減っているため、実際には計画よりも事業の量が減っているということがあるため、仮に決算との関係で計画の予算が高く見えるとしても、それはきちんと補正されているという主張です。三つ目は国庫支出金の不用が出たため、決算との比較で予算が高めに出るのはやむを得ないということです。どちらも予算執行上の結果論であって仕方ないところがないわけではありませんけども、ともかく堅く見積もるようにしてほしいということに付きます。


 四つ目が結構大きくて、地方財政でいうところの予備費がポンと5700億円積んでありますが、これは大体満額使われることはありません。であれば、大体、これくらいという正確な見通しを立てるべきだということです。国は予算が使われなければ、その分国債発行額等で調整をするのですが、この地方交付税はポンと渡し切りになるので、その見積もりは堅くやってほしいところです。


 まあ、決算と予算は乖離しないに越したことはありません。そのためにきちんと計画をきちんと見積もることは必要です。ただ、決算と予算がピタッと一致することもありません。その乖離しているところをすべて削ぎ落とそうとするのは、あまりに無理があります。最後はそのバランスの問題でして、何処まできちんと堅く見積もることができるかは財務省と総務省との間で頑張ってほしいところです。


 ちなみに財務省の参考人、総務省の参考人のそれぞれサポート役で付いていたのは、いずれも私の大学時代の同級生でした。それぞれの分野のプロフェッショナルとなっている大学同期が後方で聞いているというのは、とても気恥ずかしい感じがしました。ちょっとでも変なことを言うと「おまえ、勉強不足だ」という声が聞こえてきそうでしてね。自分の中では私と(実際には答弁に立たない)同期2名との対話のような感じでした。


【議事録】

○緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。
 この委員会で初めての質疑でありまして、委員長そして理事の皆様方に御礼を申し上げたいと思います。
 私、まず一つ目は、最近補正予算の財源とかでよく出てくる国債整理基金特別会計の減債基金制度について取り上げさせていただきたいと思います。
 今、十三兆円近く積立金としてたまっているわけでありますが、そもそもこの減債基金制度、何でこんなものが設けられているんでしょうか。財務省。


○鷲見政府参考人 お答えいたします。
 国債整理基金の減債基金に関しましての意義及び定率繰り入れの仕組みについて御説明させていただきたいと思います。
 まず第一に、減債制度の意義でございますけれども、国債の発行と申しますのも借金でございますので、借金をするときに、どれぐらいの期間で返すのかということは極めて大事だというふうに考えてございます。そういうことで、国債の発行に当たりましては、財政規律と投資家の信認の観点から、その償還方法についてあらかじめ定めておく必要があるという考え方でございます。
 我が国の減債制度におきましては、建設国債の見合いの資産でございます橋や道路、こういった建築物などの平均的な効用の発揮期間がおおむね六十年であるということから、この期間内に公債の現金償還を終了するように、いわゆる六十年償還ルールを制度的に確立しておるところでございます。これが我が国において国債償還に対する市場の信認の礎となっているというふうに考えてございます。
 なお、毎年度の特例公債法に基づいて発行されますいわゆる特例公債につきましては、その見合いの資産がございませんので、その発行の根拠となる各年の法律におきまして速やかな減債に努めるものとするというふうにされてございまして、市場の状況等に応じて繰り上げ償還を行っているところでございます。
 なお、こうした財政規律に関する取り組みは主要先進国においてさまざまございまして、例えば、米国では連邦債務残高の上限を法定してございますし、ドイツでは憲法で赤字幅を制限するなど、それぞれの経緯や国情に応じた仕組みがとられておるところと承知をいたしております。
 次に、定率繰り入れの仕組みについてでございます。
 発行した国債を全体として六十年で償還するために、前年度の始まりの時点での国債残高の一・六%を一般会計から国債整理基金特別会計に償還財源として繰り入れるよう、いわゆる定率繰り入れが法律で定められておりまして、これが減債制度の根幹ということになります。
 なお、国債の償還に当たりましては、定率繰り入れだけでは制度上償還額に不十分でございまして、これに加えて、各年度の一般会計の剰余金、あるいは必要に応じて予算繰り入れを行うということで、全体として六十年で償還する仕組みとなってございます。
 また、定率繰り入れの仕組みとして、国債の発行を最初に新規財源債として発行したその後、経過期間が短い間は減債基金の残高が積み上がるという性質がございます。ですから、委員御指摘のように、現在積み上がっておりますのは、現在のところ、いわゆる若い国債、発行後余り時間がたっていない国債が国債残高に占める比率が大きくて、各年度の償還額よりも繰入額の方が大きくなるために、いわば一時的に、時間のずれのために基金残高が積み上がっているというところでございます。
 しかしながら、さきに申しましたとおり、この基金だけで将来の償還を全部カバーできるわけではございませんので、借りかえを繰り返しまして、ある程度の年数が経過いたしますにつれてこの基金残高は減っていく、そういう性質のものでございます。


○緒方委員 非常に包括的な説明をありがとうございました。
 今伺った話をそのまままとめると、一つ国債を立てると、六十年間の命があるとすると、だんだんだんだん償還していって、未償還分がどんどん減っていく、それに対して一・六%の定率繰り入れをしていくということですので、若いうちはばんばんばんばん定率繰り入れの額がたまっていくんですけれども、それこそ四十年目、五十年目、六十年目となるにつれて、もう一般会計からどんどん繰り入れていかないと償還がなかなか難しいと。
 そういうふうに考えると、今十三兆円積み立っているのは、まさに今から十数年前に、小渕政権のときにばんと立てた、巨額の国債を発行した分とか、そういった分がまだ十年、十五年というところにあるので十三兆円積み立っているだけであって、これからどんどんどんどんその国債が年をとっていくにつれて定率繰り入れが減っていく。それによって、減っていくものだから、結局、今積み立っているものというのは見かけだけで積み立っているだけであって、将来的に国債を償還していくに際して、これから財政再建の努力もされると思いますので、国債の新規発行額がふえないということを前提にすれば、これは減っていくと。
 もう一度、確認ですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。


○鷲見政府参考人 結構でございます。


○緒方委員 ということでありますので、なかなかこれを取り崩すのは難しいし、仮に減債制度を今全部やめてしまう、もうこういう制度を全部やめて、償還が来たときにだけまた新規の財源の国債を発行すればということになる場合、突然ばんと、例えば十年ごとにお金をそれだけ調達しなきゃいけないということなので、非常に不都合な状況が生じるのかなと思いますし、減債制度をやめたときには、そのときそのとき、将来にまた増税をするなりなんなりして新しい財源を持ってこなきゃいけない局面が来るということだろうと思います。なので、なかなか、減債基金の十三兆円というものを、積み立てたものを今復興のためとかなんとか、そういったことに使うのは難しいのではないかというふうに私は理解をいたしました。
 財務大臣、いかがでしょうか。


○安住国務大臣 緒方さんの九月二十六日付のブログというのが非常におもしろくて、きのう私、夜読みまして、今のうちの説明は、多分一般の国民に言わせたらわかりにくいんですけれども、この緒方さんの書いたものは非常にわかりやすいんですね。
 例えば六百億円の国債を立てたときにどうなるかということであなたは書いておられるわけですね。十年ですから、初年は一・六七掛ける六百億掛ける十なんだから、これは大体百億ですよね。そして、償還が十年だったら、これは予定どおりいくと。ところが、これが次に五百になるわけですね。五百掛ける一・六七で、これは今度は八十四億になるから、百だから、マイナス十六億になるわけですよ、十年後、五百になれば。これが今度四百になれば、さらに穴がふえていきますよと。十年後に百億返すのに穴がふえていくのに対して減債基金を使っているということなんです。そういうことの方が多分わかりやすい説明だと思うんです。
 そういうことからいうと、この減債基金をもしほかのものに使えば、一般会計でこれをやはり繰り入れざるを得なくなるので、小渕内閣のときの返済というのは、今十年物で来ていると、昨年ぐらいは十兆前後ですけれども、その前、ピークのときは二十兆近い定率繰り入れがあったと聞いておりますので、この先も非常に、大量国債を発行していくと、この制度というのは、今の中でいえば、やはりこの減債基金というものを取り崩すというわけには私はいかないというふうに思っております。


○緒方委員 時々、定率繰り入れをやめたらどうか、過去に何回も例があるだろうと。十一回だったかな、何か定率繰り入れをやめたことがあるではないかということでありましたが、定率繰り入れをやめたその過去の実績について御答弁いただければと思います。


○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
 定率繰り入れは、御指摘のとおり、過去に十一回停止をしたことがございます。そのうち、一番最近では平成七年でございます。もう相当前になりますが。
 過去に停止いたしましたときは、国債残高がまだ少なくて、大量の償還を迎えていなかった昭和五十七年から平成元年度まで、それから、NTT株の売却収入等の別途の財源を有していた平成五年とか七年、こういった時期に行われたことでございます。
 御指摘のように、国債市場を取り巻く環境を見ましても、財政状況が当時より著しく悪化しておりますし、財政規律に対する市場の意識もよりセンシティブになってございますので、こういった当時と比べてマーケットリスクが著しく増加しているのではないかというふうに考えております。


○緒方委員 そうですね。バブルの時期だったり特別な収入が生じたときに定率繰り入れをやめたということでありまして、今こういうものをとめるときに、本当に日本は国債を償還する気があるのかというマーケットの信頼にかかわる問題でありまして、私は、個人的には、この国債整理基金特別会計減債基金の制度に余り手をつけない方がいいのではないかなというふうに思っております。
 先ほど、同じ福岡選出の山本先生から厳しいお声が飛びましたけれども、別に私、何か毒まんじゅうを食べたとか、そういうことではございませんので、御理解を賜れればというふうに思います。
 このテーマはここら辺にいたしまして、テーマをかえたいと思います。地方財政の問題について取り上げさせていただきたいと思います。
 昨年の十月十三日だったと思いますけれども、財務省の財政審の方で、非常におもしろい地方財政に関する報告が出ました。地方財政、地財計画の予算と決算を見比べてみると、額としては実は予算よりも決算の方が高目に出るんですけれども、決算をよく見てみると、例えば制度融資のものとか、あと超過課税、法定外課税、そして、例えば給与関係経費で、本来標準で決まっているものよりもさらに手厚く給与関係経費をつけているものとか、そういったものが決算に入っているので、そういうものをばんと落としてみると、実は地財計画の予算の方が決算よりも高く出る、これは過剰計上なんじゃないか、そういう御指摘だったと思います。
 少しこの概要について財務省の方から説明いただければと思います。


○福田政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたとおり、財務省は、昨年の十月の財政審、それからそれに引き続く行政刷新会議における特別会計仕分けにおきまして、地方財政計画につきまして、地方財政計画と決算額の乖離の問題につきまして、その双方から、いわゆる制度融資分など、比較分析に当たって実態を見えにくくしている要因を排除する手法で比較を提出させていただきました。それによりますと、三兆円以上の乖離がある可能性があるんじゃないかということを指摘させていただいたところでございます。


○緒方委員 地方はお金をもらい過ぎじゃないかというふうに財務省の審議会の方で厳しく指摘が出ているわけですが、これは総務省、いかがでございますでしょうか。


○米田政府参考人 総務省の方からお答え申し上げます。
 地方財政計画は、御承知のとおり、翌年度の標準的な歳入歳出の見込み額でございます。地方公共団体は、自主的な予算の使い方の結果といたしまして決算額が出てまいりますので、当初より、この見込み額と決算額のある程度の乖離というのは想定をしているところでございます。
 ここ数年と申しますか、バブル以降の状況で申し上げますと、バブル景気崩壊後の経済対策で、地方財政計画におきまして、公共投資に大幅な増額をした一方で、国と同様に福祉関係の経費が非常にふえてきた、こういうふうなシフトがございましたので、一般の行政経費というのは決算が計画を大幅に上回る、一方で、投資的な経費、特に単独分につきましては計画が決算を大幅に上回る傾向がございました。そのほか、公共の病院ですとか下水道事業などの公営企業の繰り出し金につきまして、決算が計画を一定程度上回る傾向というのがここずっと続いてまいりました。
 このため、国の財政当局ともお話をさせていただきまして、特に乖離が大きいものについて、その是正が図られるということで、一般行政経費を計画上増額するとともに投資的経費を減額するという一体是正というのを、平成十七年度より十九年度にかけて行ってまいったところでございます。
 いずれにいたしましても、地財計画と決算、乖離が大きければいいと認識しているわけでは全然ございませんで、できるだけその乖離が出ないように、地財計画における歳入歳出の見積もりが適切に行われますように努力してまいりたいと存じます。


○緒方委員 では、指摘があったものの中で、給与関係経費、これは公務員制度改革にも若干つながるところがあるのかなと思いますけれども、指摘の中では、平成十九年度ベースで、職員の加配分が、標準以上に加配されているものが八千五百億円、そして、もともと給与等々で、超過分で給与が出ている部分、そういったもので二千二百億円というふうに出ております。警察官とかを地方の判断で加配している部分があって、こういった人員の加配の部分で八千五百億、これをどう見るかということと、あと二千二百億円、いろいろな要因があるんだろうと思います。
 ここは、何で二千二百億円、決算で大きく出ているのかというのはなかなかよくわからないところがあるんですが、財政審の指摘によると、例えば、いわゆるわたりと言われているもの、本来職務に相当する級以上のところに職員を配置して、比較的職員構成が上位の級に偏るような、そういうモデルで地財計画を組んでいるんじゃないかという指摘もありますし、また、例えば技能労務職員の給与について、民間準拠で考えてみると少し高目に出ている、そういったような指摘もあるわけでありますが、この点、財務省、いかがでございますでしょうか。


○福田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の計数は、先ほどの財務省の問題提起に対しまして、総務省の方からこういうものの可能性があるということで示された数字だと認識をしております。
 それで、財務省といたしましては、地方歳出の四分の一以上を占めている給与関係経費については、従来より不断の見直しが必要であるということを申し上げておりまして、今御指摘のような点を含めて、かねてよりずっと問題意識を提起しているところでありますが、今年度予算を含め、毎年度の地方財政計画の策定においてできる限り合理化に努めてまいりたい、総務省とそういうことでよく話をしてまいりたいと思っております。


○緒方委員 それでは、今言われた八千五百億円と二千二百億円、それぞれ総務省側から、職員の加配分が八千五百億、そして標準を超える給与の部分が二千二百億というような御指摘があったわけですが、それぞれどういう根拠で、どういう思いでおられますでしょうか。総務省。


○米田政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました数字は、平成十九年度の決算を分析いたしました結果でございまして、御指摘のとおり、地方が警察官とか教職員につきまして自分の判断で加配をするという部分が約八千五百億円、それから、一般的に国の水準を上回るような退職手当、そういうようなことに起因していると思われるものが残りの二千二百億円あるのではないかという分析をいたしました。
 そこで、私どもといたしましては、警察、教員等の加配等につきましては、地方公共団体が自主的な判断で、いわばサービスに充当する部分でございますので、これは、地方交付税等の一般財源の使用方法としては、地方に任された部分ではないかという認識をまず持っております。したがいまして、問題になりますのは、退手等の水準がいわば標準的な、必要な金額を上回るような使用というのはやはり問題と考えております。
 したがいまして、今御指摘のございましたわたり、それから技能労務職員の賃金水準等につきましては、総務省自身、地方公共団体にその是正を要請しているところでございまして、そういうことで最近はかなりの是正が図られているものと思いますけれども、いずれにいたしましても、地財計画上は、その実績の数字ではなくて、決算の数字ではなくて、あくまでも標準的な給与の見込み額というので計上をいたしております。
 例えば、わたりについて申し上げますと、わたりで級別の職員構成というのが地方が多いではないかというような御指摘もございましたので、平成十九年度以降、毎年見直しをかけてございます。さらに、地域ごとに賃金水準が違うというのをどのように反映させるかということで、二十一年度における是正後の給与実態調査というのを踏まえまして、さらに適切に反映していくという方向で検討しております。
 それから、技能労務職員につきましては、平成二十年度から二十二年度、最近の地方財政計画におきまして、国の行(二)の適用職員、それから民間企業の状況等を踏まえて抑制措置を図っております。国の行(二)適用職員の給与水準を下回る額というのを基礎として計画では見込んでいるということでございますので、計画上、それが過大に入っているということはないというふうに認識しております。
 以上でございます。


○緒方委員 決算のところで大きく出ているということなので、この部分は、いずれにせよ、アカウンタビリティーを高めるべきだと思うんですね。標準を超える費用の部分が実際に決算のところでわっと出てくるというのは、二千二百億円というと、地方と国で折半して一千億円近い負担が国に生じているわけですので、別にそれがすべて悪いとかそういうことではなくて、少なくとも、総務省そして地方自治体は、ここについてアカウンタビリティーを高めて、これが本当に適正であるのかどうかということはきちんと説明できるようであるべきだというふうに思います。(発言する者あり)珍しく山本幸三先生からいい指摘だというコメントが来まして、感動いたしました。


○海江田委員長 余り答えないように。


○緒方委員 はい。
 もう一つ、財政審の指摘に対して、総務省から出てきたのは平成十九年の事例ですけれども、地方の税収が減った分があって、それに伴って事業も減っているので、計画が多く見積もられているという事実はないと。平成十九年度の例を見ながら説明をされていたわけですけれども、地方の税収が減っているから、それに伴って事業が減って、それに伴って予算の過大計上というのはないのだということを主張されていたと思いますけれども、いかがでしょうか。


○米田政府参考人 お答えいたします。
 地方財政計画で地方税収を当然見積もるわけでございますが、これは国税と同様に前年度の十二月時点の見積もりでございますから、今御指摘ありましたとおり、実際の税収が地財計画の見積もりに比べて上下をするということは当然起こってまいります。地方税収が計画の計上額を下回る場合には、通常は、減収補てん債というのを発行していただきまして、それで本来予定をしていた行政サービスが落ちないように手当てをするという格好になっております。
 ところが、地方の財政当局もやはり財政状況の悪化というのに非常に神経質になっておりまして、この減収補てん債をできれば発行したくないということで、その減収の全額よりも少なく発行いたします。その減収の部分はどうするかというと、それまで積み立てておきました基金を活用したりというようなことをやっております。
 そういうようなことで、計算上その決算が計画を上回るというように見えるということはあり得るものというふうに考えております。
 以上でございます。


○緒方委員 ただ、この部分の乖離というのは、実は増収のときでも同じことが起きているんですね。減収のときは確かに、もしかしたら、地方税が減収したことによって計画よりも実際実施した決算の部分がより小さくなっているということはあるかもしれませんけれども、増収のときでも似たような現象が生じているということは、増収のときにこういう現象が生じているときは過剰計上だというふうにみなしていいということでしょうか。


○米田政府参考人 増収の場合もあることはもちろんでございますけれども、増収の場合、通常は、増収があったからそれを直ちに歳出に使うというようなことはありませんので、今申し上げましたように、地財計画上の問題と決算上の問題が、増収のときにここのところで問題になるということは通常あり得ないのではないかというふうに考えます。


○緒方委員 後で議事録を見ながらもう一回よく勉強したいと思います。
 もう一つ、予算が少し大き目に出る原因として、国庫支出金の不用が非常に大きく出たんだというふうに言われております。国庫支出金の不用が出ているということは、恐らく、国の一般会計の不用が出ていることに伴って国庫支出金の不用が出ているということだと思うんですけれども、しかし、これも確かに、国の一般会計からの不用が出るために地財計画で不用が出るというのは、それはわからなくはないんですけれども、やはりこれは過剰計上じゃないかなという指摘もあるんですが、いかがでしょうか。


○米田政府参考人 今の御指摘は、地財計画上は既に計画で定まっておりますので、実際の決算で、当初の見込んでおりました補助事業が執行できなかったという場合に、決算上は、それは当然マイナスになってまいります。そこで、そこの部分が計画よりも下がっていくということは当然あり得るものと思いますけれども、だから計画が過大計上になるというふうには私どもは考えておりません。


○緒方委員 これとの関係で、昨年たしか少し対応されたと思いますけれども、地財計画の中に追加財政需要ということで、一般行政経費の単独のところに五千七百億円、ぼんと積んであります。これは、例えば補正とかで補助事業があったときとかに対応するということですが、たしか、五千七百億円積んであるけれども、満額取り崩したことはこれまでなかったんじゃないかと思いますけれども、実績はいかがでしょうか。


○米田政府参考人 今御指摘の追加財政需要額に係る計画額の計上でございますけれども、これは、今御指摘いただきましたように、一般会計予算の予備費に相当するものということでやっております。当然のことながら、国の予備費と同様に、当初より計上しているものでございます。
 実績でございますけれども、従来より五千七百億円で二十二年度まで計上しておりました。実際の地方負担額、いろいろ計算をいたしますと、満額使い切るということはございません。最大で、ここ十年程度で見ますと、平成十六年度に四千億円強の負担額で計算しておりますので、その場合でも一千億円強の余剰があるという状況でございます。


○緒方委員 予備費なんですけれども、国の予備費というのは、使わなければ、予算が出なければ、国債を発行しないとかなんとか、いろいろなやり方があると思いますけれども、地方は渡し切りですので、五千七百億円をばんと渡してしまえば、国と地方で折半で、それでもう出ていってしまうだけですので、ずっと経年で見ていって、それで明らかに五千七百億使っている形跡がないというのであれば、これは国の財政に負担が生じる話ですので、そこは予算の計上のときにもう少し手がたく見積もっていくというのが必要なんじゃないかなと思いますけれども、これはいかがでございますでしょうか。


○安住国務大臣 貴重な御指摘でございますので、今後、予算編成等で十分参考にさせていただきたいと思います。
 ちょっと、先ほどのお話で、私、訂正がございます。
 定率繰り入れの額で過去最大二十兆と言いましたけれども、これはネット償還のお金が二十二兆だったんですね。過去最高は、二十三年度で、定率繰り入れ分が九兆八千億であるということを訂正して、おわびを申し上げます。


○緒方委員 きょうの質問だけだと、私、地方交付税を切れ切れ、切れ切れと言っているような、鬼のようなやつだと映ったかもしれませんが、決してそういうことではないんです。ただ、根拠のあるもの、ないものをきちんと仕分けして、根拠のあるもので地方の財政を支えていくべきだ、そういう信念を持っているものでありまして、もう一度議事録を見ながらしっかりと勉強させていただきたいと思います。
 貴重な質問の機会をありがとうございました。