ある方から、「あなたは今後のエネルギー政策についてどう考えているか?」というご質問を頂きました。断片的にはこのブログでも書いていたつもりでしたが、たしかに非常に断片的でありまして、繋ぎ合わせないとご理解いただけない水準でした。


 私は大まかなところでこういうことを考えている人間です。


・ 福島第一の件を踏まえれば、今後、政治的に原子力発電所の新規立地を行うことは難しいだろう。


・ ただし、現在の原子力発電所への依存度にかんがみれば、現在存在しているすべての原子力発電所を即座に廃炉にするのは適当ではない。定期検査で停止しているものについては、災害対策等をきちんと行い、かつ地元の理解を丁寧に得ていく努力をした上で、できるだけ早く再開していくべき。


・ その中にあっても、今後、耐用年数が来たものから廃炉になっていくと思われるので、中長期的には原子力発電所の数は逓減していくこととなる。


・ 耐用年数が到来したことによって廃炉になっていく原子力発電所の発電量を補っていくには、再生可能エネルギー、スマートコミュニティ―等の技術で補うことを考えなくてはならない。つまり、原子力発電所の発電量の低下と(それを補う)再生可能エネルギーの技術革新は対であり、技術革新が原子力発電所の発電量の低下のスピードに追いつけない場合は主として火力の増加となる。


・ いずれにせよ、再生可能エネルギーによる発電量には一定の限界があり、火力発電所での能力増強を考えなくてはならない。かつ、再生可能エネルギーは価格が高い(今後、価格低減は期待できるものの火力や原子力の水準にまで到達することはなかなか難しい。)。


・ その結果として、今後、電気料金は上がることは避けられくなり、これは事実上の増税に近いものであるため、我々の生活水準の低下に繋がる。原子力発電所の発電量が下がることによって、自ずと我々日本国民はその生活水準の低下を甘んじて受け入れる気概を持たなくてはならない。ゆめゆめ、原子力発電所を廃炉にしてしまえばバラ色の世界が来るとは考えてはならない。その事を全国民がしっかりと認識した上で、辛い道のりを歩んでいくことが必要。


 この件は色々な論点があると思います。もっと、再生可能エネルギーに期待を掛けてもよいのではないかという方もいるでしょうし、発送電分離についてどう考えるのかという論点もあるでしょう。なお、私は発送電分離についてはまだ確たる考えを持つに至っていません。やはり、カリフォルニアであれだけ停電が頻繁に起こることは気になる一方で、事実上の10電力会社の地域独占状態が本当にベストなのかということについても問題意識を持っています。論者によっては「発送電分離は制度の組み方をしっかりやれば上手く行く」というお話も聞かされております。


 異論、反論大歓迎です。私の見解が絶対的に最も優れているとは思いませんし、これは考え方によって色々な「正解」があるものでしょうから。


 また、上記の見解を聞いた方からは「単なる現状追認じゃないか。積極的に何かをしようという気概を感じない。」という厳しいご批判を受けたことがあります。そう受け止められる内容なのかな・・・、と自分なりに考えたりもしました。