「税外収入」、重いテーマです。第3次補正に向けて、税外収入を何処から出せるかという話が相当に盛り上がっています。


 政府から当初「子ども手当見直し、高速道路無料化見直し、東京メトロ株売却等」といったメニューで3兆円という案が出され、その後「JT株の政府保有割合見直し、国家公務員人件費、エネルギー特別会計、財投の剰余金」で2兆上積みということになっています。


 まず、財源について私の一番基本的な立場を述べると、(1)現ナマがないものはダメ(借金の付け替えはダメ)、(2)市場に予期せぬリスクを与えるものはダメ(国債利率に変な跳ね返り方をする可能性がある者はダメ)、という2点です。これを前提にすると、国債整理基金特別会計の減債基金取り崩しと国債の日銀引受けは(1)と(2)に引っ掛かり、外為特別会計の積立金は(1)に引っ掛かります。私の中では、これらは「まあ、あり得ない」ということになっています。そして、党内でそう主張しています。


 あと、期待感の大きい郵政株ですけども、たしかに法案を通せば9兆円の内、6兆円は売却可能になります。それを梃子にして郵政改革法案を通していくというのは傾聴に値すると思いますし、私もそうなればいいと思います。ただ、一つ気を付けなくてはならないのは「そんなに簡単にマーケットで捌けるわけでもない」ということがあります。6兆の資金がすぐに集まるはずもなく、一斉放出すれば郵政株の下落のみならず、マーケット全体が下げの圧力に晒されます。そこは要注意の要素です。


 ただ、ダメ出しをするだけでは知恵がないわけでして、私は先日、党内の会合で以下のようなことを言いました。すぐに第三次補正で使えるアイデアではないでしょうけども、これからも復興は続きますから、こういうのも動員すべきだろうと思います。なお、上記の政府の税外収入案も、以下にある私の税外収入案もすべて「筋が悪い」ものです。平時であれば振り向きもされない案件ばかりです。それを承知の上で、非常時だから提示しているものです。


① 地方交付税

 国家公務員の人件費削減は政府案で上がってきています。であれば、地方公務員の皆様にもご貢献いただくのがいいのではないかと思います。地方財政計画における地方公務員の給与総額は20兆円程度です。地方財政計画ベースでの削減ができれば、(計算は省きますけど)自ずとその削減分の1/2だけ地方交付税は減ります。

 これを言うと、地方6団体から「国が地方公務員の給与に口出しするのか」と反発が来ます。それは分かっています。筋が悪いのは重々承知しているのです。しかし、直接口出しするのではなく、国が適当と考える給与水準に基づいて地方交付税を調整するだけでして(苦しい理屈ですが)、それを受けた地方公共団体は別に給与削減でなく、別の費目での削減もあるわけです。


② エネルギー特別会計

 上記の政府案でも出てきているのですけど、実は「5年間で500億円」です。経済産業省の方は「精一杯出しました」と言っていました。しかし、エネ特の年間予算規模は8500億円程度ですから、5年間で4兆3000億円規模です。私からは「桁が一つ違うのではないか?」と主張しました。予算総額の1.2%程度(4.3兆×1.2%で概ね500億)で「精一杯」はないだろうと思います。これから政治的に原子力発電所の新規立地は難しいでしょう。そういうところの費用や訳の分からないエネ特事業を果断に切っていけば、桁がもう一つ上がるくらいの財源は出るはずです。


③ 議員宿舎

 議員宿舎に住んでいない者の特権として「使用していないもの、しているもの含め、全部、売るべし」ということを言いました。赤坂の一等地に「議員」宿舎は要らないはずです。こういうふうに言うと、「危機管理の時にどうする」という問いが来ます。それは政務三役になった人を指すのでしょう。その人達は、千代田区三番町あたりにある、いわゆる「番町住宅」と言われる公務員宿舎に住めばいいのです。政務三役になった時の面倒を国会予算で見る必要はないという道理もあり得るでしょう。

 また、諸外国でこの手の議員宿舎というのは稀でして、基本的には家賃補助です(ちなみに某所のアパートに住む今の私には家賃補助はありません)。将来的な家賃補助額による負担と売却益の見合いで判断すべきところはありますけども、財源的には相当出るのではないかと思います。

 ただ、これは同僚議員には受けが悪かったですね。ある先輩議員は相当に気分を害したようで、半ばお叱りを受けてしまいました。


④ 休眠口座

 これは田中康夫議員が主張しておられることですが、金融機関で一定期間使用されていない口座のお金を使えないかということです。実際、実務上は10年使われないものについては、会計処理上は銀行の利益として扱っています。これが毎年1000億円程度あります。勿論、これは会計処理上の問題でして、その後でも引き出しがあればきちんとお支払いすることは言うまでもありません。

 ただ、諸外国、例えば英国、韓国あたりで既に行われており、その実行を見ていると10年使用がないもので、その後引き出しがなされる預貯金というのは、どんなに多く見積もっても、全体の3割を超えている国はありませんでした。日本の金融機関でも既にそういうデータがあるはずですから、ある程度の歩留まりは分かるはずです。逆に言うと、その歩留まり以上の部分は確実に銀行の利益として残っているものと思われます。

 所有権の問題を始めとして、実務的には相当に難しいところがあることは承知しています。筋が悪いことも重々分かっています。それをあえて承知の上で、この話もしました。既に内閣府や財務省では一定の検討が進んでいますので、私も更に勉強してみます。


 ということで、私からは「筋は悪いけど、緊急事態ということにかんがみ、あえて主張した税外収入案」ということで以上4件を述べました。法改正を伴うものだったりするのですぐには結実しないかもしれませんが、もう少し追ってみたいと思います。