今回の大臣交代は内閣改造とは言わないようです。「内閣改造」は特にはっきりとした定義がないため、何を持って改造と言うかは難しいです。一般的には大臣の数を相当数入れ替えるということを含意しているわけですが、例えば、1998年の小渕第一次改造内閣は中央省庁再編のための閣僚減員と自自連立のための改造で、自民党の閣僚が3人退任して、自由党から1名閣僚を入閣させた、人数的にはあまり移動のないものでしたが、これは内閣改造だというふうに捉えられています。やはり、連立ということで枠組みが大きく変わったことがあるのだと思います。


 今回の閣僚交代については、気になることがあります。多分、皆様も同じような感想を持っておられるはずです。


● 環境相+法相

 普通の国ならあり得ないです。それぞれの閣僚が所掌するものというのはとても大きいです。法相というのは目立ちませんが、国の権力の最たるところを司るポストでして、私は閣内重要ポストの一つと思っています。他方、日本の政治の中では、例えば「国会答弁の機会が相対的に少ないから」みたいな感じで捉えられます。例えば、フランスでは法相は国璽尚書(Garde des Sceaux)という肩書きを貰います。恐らく、国王が押す国璽を管理するという責任ある立場を意味するのだと思います。そういうポストと、これまた重要ポストである環境相が兼任できるはずもありません。


● 内閣府の所掌

 以前も書きましたが、内閣府には色々な所掌事項がありますけども、その担当がコロコロ変わるのです。今回、目立ちませんが消費者担当は細野大臣になりました。消費者は菅内閣になって、荒井、岡崎、蓮舫大臣に次いで4人目になります。あまりこういうのは良くないですね。そもそも、細野大臣は原発対応で忙殺されるでしょうから、消費者担当が相当に手薄になるはずです。


● 副大臣、政務官の所掌

 よく各大臣の所掌が多すぎるのではないか、という批判がありますが、私は実は内閣府の副大臣、政務官の所掌の方がヒドいと思っています。例えば、私が事業仕分け以来、いつもご指導いただき、お世話になっている園田康博政務官の所掌を見ていると「栄典、迎賓館、行政刷新、公文書管理、規制改革、官民競争入札・公共サービス改革、情報公開・個人情報保護、民間資金等活用、公益法人行政、官民人材交流及び再就職等監視、食品安全、共生社会政策(青少年健全育成、食育、高齢社会対策、障がい者施策、交通安全対策、犯罪被害者対策、銃器対策、薬物乱用対策、定住外国人施策)、消費者関係、情報公開制度、拉致問題、公務員制度改革及び行財政の抜本的見直」です。これに今回、細野大臣の下で原子力関係が入ってきました。

 見ていただければ分かると思いますが、一人でやるのは無理だと思います。内閣府は大臣の数が多いのに比して、その大臣の所掌を機械的に副大臣、政務官に振るとこういう無理が出るのです。すべての所掌を機械的に割るのではなく、副大臣、政務官に割り当てられない所掌が出ても仕方がないと、私は思っています。


 やはり、時限的にでもいいので、大臣と内閣府の政務官クラスを少し増員したほうがいいのかなと思います。これは政局ネタになったりするので難しいところがあるのですが、きちんと手順と礼儀を尽くして説明すれば野党の方々にもご理解いただけるのではないかと思うんですよね。それで人件費が増加になるのがけしからんということであれば、もう政務官については「無給」にしてもいいとすら思います。実際、種々の事情による給与返上等によって、たしか政務官はその職に伴うサラリーは殆どなかったのではないかと思いますし(違っていたらすいません。)。


 その他にももっと論点はあるのですけども、私なりの視点で今回の閣僚交代を見るとこんな思いを抱きました。