ふと思ったことがありました。「日本はトモダチ作戦に来てくれた米軍に何を報いたのだろうか。」ということです。
勿論、政府レベルで謝意を表明しているでしょうし、色々な外交ルートで謝意を伝えているはずです。ただ、普通なら勲章くらいは渡していいのではないかと思うわけです。ここは実は日本の抱える色々な問題点が凝縮されているのです。
軍隊という組織は非常に名誉を重んじます。そして、勲章の位置付けがとても高いのです。しかし、日本では、現役の自衛官に勲章を出すことはしていません。あるのは防衛記念章 というもので、正確な意味での勲章ではありません。位置付けも防衛省内部の訓令レベルで定められているだけで、日本国政府として認めたものですらありません。天皇陛下の名前の下で出される勲章とは大きな違いがあります。
現役の日本の自衛官に勲章が出ない以上、勿論、外国の軍隊関係者に勲章が出ることはありません。しかし、万難を排して救援活動、復旧活動に従事してくれたトモダチ作戦の方々に謝礼金が出せるわけでもなく、何らかのかたちで報いてあげるべきであり、一番適しているのは勲章だと思うのです。多分、逆の状況になっていたとしたら、外国政府は日本の自衛隊員に勲章を出しているはずです。
問題点としてあり得るのは、①多くの軍人すべてに勲章を出すのか、②それはすべて天皇陛下の名前でやるべきなのか、③軍以外の貢献者にどう対応するか、くらいかなと思います。
①と②については、まあ、すべて国事行為として対応するのは手続きが重すぎるので、内閣総理大臣の名において、現行の勲章に類するようなものでいいのかなと思います。ただ、それは今の防衛記念章よりも重みのあるきちんと法令に基づくものとすべきです。まあ、実は日本の勲章は、外国のものに比べるとブツそのものが高価だということはありますけど、多くの軍人に出すのであれば、別に無理して高価なものとする必要はないでしょう。
③については、よく理解できる議論ではあるのですが、往々にして日本にありがちな「悪平等」に陥りがちなので気を付ける必要があります。たしかに、今回のケースでは救援、復旧、復興に貢献したのは米軍だけではありません。様々なバックグラウンドを持つ方が、それぞれのやり方でやっておられます。ただ、その中でも軍関係者は相当に危ないミッションに従事しています。それに加えて軍隊の名誉を重んずる文化にかんがみれば、まあ、軍人に対する勲章を特出しすることは積極的に解していいと思います。仮にそうやったとしても、内外から苦情が出ることは(一部の特別な思いを持った方を除けば)ないはずです。
ただ、上記でも述べたとおり、ベースは現役の自衛隊員に対する勲章の話がベースとなります。そこが先に進まないと、今回のケースでの米軍への叙勲もないでしょう。私が地元福岡で個人的に師事している産経新聞九州総支局長の野口裕之さんは「安全保障読本」 でこの件を熱く語っておられます。私があれこれと書くよりもこのエントリーが正確です。ここにある通り、自衛官が礼装に付けている勲章はすべて外国政府から貰ったものだというのはとても恥ずかしいことです。
やっぱり、トモダチ作戦に頑張っていただいた米軍関係者に対して、勲章くらい出してあげていいんじゃないかと素直に思います。こういうことを言うと、えてして「かなり右寄り」とか言われますけども、私は別に自分が右寄りだという行動規範を持っている人間ではありません。しかも、そういう方には「いや、あの崩壊状態だった仙台空港を早急に立て直した人に感謝しないの?」と素直に問いかけたいです。