といっても、決してこの曲 のことではありません。


 第一次補正予算が国会で可決されました。これは応急措置的な要素の強いものです。そして、被災者支援から復旧、復興には「継ぎ目のない」取組が求められます。そうやって考えると、早速第二次補正予算の編成に入るのかなと私は思っていました。しかし、どうもマスコミ経由で流れてくるのは「第二次補正は『税と社会保障』の議論の結論が出る6月末以降に編成に入り、7月中に纏める。」みたいな話です。これだと、国会での審議は盆明けの臨時国会ということになります。成立するのは最速でも9月上旬でしょう。


 第一次補正で4兆円の支出をするわけですが、あくまでも応急措置的なもので、これから4ヶ月も空くのか・・・と思うと、完全に継ぎ目が出来てしまいます。私の頭では到底理解できません。「野党の合意が得られないから」、「党内合意形成が難しいから」、そんなことは全く理由になりません。


 財源論も含めて、ともかくやれるメニューはそんなに幅があるわけではありません。第一次補正予算に関する3党合意 を見れば、大体この後の絵姿は見えているのです。党内には「この合意書は慎重に書かれた」という方がおられて、私も元官僚としてその慎重さはよく分かります。ただ、その慎重さをあえて無視すれば、ここに書いてあることは次のように解釈されます。


○ 子ども手当、高速道路無料化、法人税減税は廃止、停止あるいは縮小。

○ 第一次補正で使った2.5兆円の年金積立は、第二次補正の段階で埋め合わせる。

○ 特例公債法案については、上記の前提が整えば合意する。

○ 歳出削減(恐らくは公務員給与)のカットはやる。

○ 復興のための財源は、国債を立てるけども、増税で早く償還する。

○ 将来的には社会保障財源のために増税する。そのための案を政府は出す。


 行間をあえて埋めて書くとこんな感じなのでしょう。「そんなこと書いてないじゃないか」とお叱りを受ける部分もあるでしょうが、書きにくいから書いてないだけで、少なくとも合意書にサインした三者に限って言えば多分こういう認識の一致があるはずです。


 私の理解が正しいのであれば、これで走ればいいのです。というか、私にはこれ以外の選択肢があまり思い浮かびません。


 「国債整理基金特別会計」にある10数兆の減債基金を使えばいい、という意見があります。日本は毎年160兆近い国債を借り換えます。10数兆というのは1ヶ月分くらいです。この基金は将来の償還の為に積んであるだけで、いわゆる積立金とは相当に異なります。これをパーっと使ってしまったら、そのままマーケットに対しては「日本の国債の償還は危ない」というメッセージになり、利子の上昇に繋がっていくでしょう。真っ当な考え方とは思えません。


 「国債の日銀引き受け」、禁じ手中の禁じ手ですね。マーケットはそれをとても否定的に受け止めるでしょう。確実に利子が上がります。永田町にいると「マーケットの信認」ということに対する危機感がとても低い議員がいます。これは我々議員が決めることではなく、マーケットという集合体が決めることです。もしかしたら、日銀引き受けが利子上昇に跳ね返ってこないのかもしれません。しかし、その可能性が大である以上は、そういう冒険主義に走ることはとても危険なことです。


 その他にも「無利子国債」、「労働保険特別会計の剰余金取り崩し」・・・等ありますが、まあ、私には筋の悪い錬金術にしか見えません。「特別会計をいじれば数十兆円」という意見もあるようですが、そもそも、私が特別会計仕分けの主査をやっている際に、「ここに特別会計から出せるカネがある」と助言をしてくれた方はあまりいません。私は特別会計についてはある程度は詳しくなっているので、是非、教えてほしいです。


 最後に、私が今一番懸念しているのは「特例公債法案」が通っていないことです。赤字国債を立てる権限が今、国に付与されていません。今は国庫短期証券で回していますけども、こんなことが行われていること自体がマーケットとの関係では綱渡りです。私は今、一番これが怖いです。世間はあまり注目していませんけども、今の政府の資金繰りは本来想定されていない60日の短期証券での綱渡りです。国債を回していけるかどうかを判断するのは我々ではありません。我々の影響力の及ばないマーケットに正しいメッセージを送っているだろうかろ不安になります。早急に特例公債法案は可決してもらえるように、政府は必至豆炭(方言です)で走らなきゃいけないはずなのに、どうもその危機感が永田町に薄いような気がするわけです。


 これらすべてを思う時、私の頭に「Crazy Gonna Crazy」という言葉がよぎった、それだけです。