最近、立て続けに在京のアメリカ大使館とEU代表部から「来年、招聘でうちの国に来ませんか?」というプログラムのご案内がありました。国会では、在京大使館のセレモニー的なものを除くと、外交関係に首を突っ込まないようにしているので、「なんで、私なのかな?」とは思いますが、まあ、ありがたいことです。言葉がある程度出来るというのもあるのかもしれません。


 希望の関心事項を聞かれたので、最重要事項として「そうですね、議員の知り合いが数名欲しいですよね。」と応えておきました。今、日本の国会議員の中でアメリカや欧州の国会議員と意味あるかたちで交流ができている人はとても少ないです。日本の議員は「会うこと」、「行くこと」を第一目的にする傾向があり、あまりに中身がなさ過ぎて実務的なアメリカの議員などからは避けられる傾向にあります。同僚の大西健介議員(在米大使館議会班勤務経験あり)も言っていましたが、韓国の議員とはそのスタイルが上手く行くけども、アメリカの議員は議論の実質性のない面会を嫌がります。まあ、私は「まずは会って、酒食でも一緒にやって」というアジアスタイルの意義をとても大事にしたいと思う人間ですけどもね。


 特に今、アメリカの議会への線がとても弱くなっています。在米大使館議会班公使クラスであっても、議員とのアポイントには相当に難儀するそうです。私は少し底意地が悪いので、在京のアメリカ大使館員が来ると「今は一期目なのでやりませんけど、いつか私からも相互主義に基づく敷居の高さ(ランク・コンシャスネス)を求める日が来るでしょう。」と伝えることにしています。つまり、うちの国の大使館員がアメリカ議会でアポに苦労している以上、私もいつか「(ちょっと弱気ですけど)参事官以上が来るならお会いしましょう」くらいのことは言いたいと思っています。ちなみに私はこういうのが嫌いなんですが、それなりに日本という国の矜持は見せなくてはいけないという意識です。


 そういう中、私が持っている優位性を上手く使いながら、議会間で良い交流ができればいいと思っています。その人脈は必ず何処かで活きてくるはずです。外務省経由でのルートは、それはそれで大事にすればいいわけですが、我々議員には別の役割があります。


 あとはアメリカの方は地方オプションがありそうなので「ディープな田舎に行ってみたい」ということは伝えました。説明が難しかったので、(若干のジョーク混じりで)アメリカ大使館の方には「パスポートを持たず、ブルーススプリングスティーンの『Born in the USA 』を聞きながら、『We are No.1』と信じて疑わない人が住む中西部の地域」と伝えました。多分、一番分かりやすい説明だったと自負しています。欧州の方は地方オプションがないのですが、あったら「ペットショップボーイズの『King's Cross』 という曲を聞きながら連想できる北方の地方都市」というお題を出すつもりでした。私はこういうアプローチがとても大好きです。


 ディープな地方というのは、我々が日本でメディアを見ている限りはなかなか接することがありません。しかし、そういう場所の世論が国政に強く反映されるというのは何処の国でもそうです。非常に保守的な文化を持ち、対外的なことへの関心が低い地域がどういうものなのかは、外国に行く時に常に注視していかなくてはなりません。


 とは言え、まあ、来年になると総選挙が近づいてくる雰囲気になるでしょうし、本当にこの2つの招聘を受けることができるかは分かりません。1年半前に当選して、いわゆる海外はプライベートの中国旅行だけです。それじゃいかんと思いつつも、それを許さない政治風土、政治文化があるような気も最近しています。