昨日の地震、私は議員会館にいました。


 自分の部屋が9階ですので、秘書の岸さんと走って階段で1階まで降りていきました。揺れている中で全速力で降りていったので、軽い酔いを覚えました。一番強い時は立っていることが難しいくらいの揺れでした。新築の議員会館であっても、壁の塗料が剥がれたりした部分もありました。


 そして、私は議員宿舎には住んでいないため、帰りに困りました。議員会館に住んでいないのは、「これも議員特権の一つ」という思いがあるためです(なお、私は政府の重要な役割を担っている方は都心に近いところに住むべきだと思っていますが、それを整備するのは立法府ではなく、行政府だと考えています。)。


 国会から東京の住まいたるアパートまでは15キロ近くあります。かといって、議員会館に寝泊まりするわけにもいきませんので歩いて帰ることにしました。多分、昨日、ああいう経験をした国会議員はそうそう多くはなかったはずです。


 ルートとしては、永田町→新橋→品川→第一京浜・・・という感じです。最終目的地たる私の家に帰るためには赤坂から飯倉方面を通って高輪から品川に抜けた方がいいはずでして、若干の遠回り感があるのですけども、道を間違えそうだったので新橋まで出ました。


 途中の感想はここ( )で実況しています。ともかく、私を含む膨大な数の方が歩道で帰宅していました。ちなみに、私の住居地の段階ではまだまだかなりの方が更に南下していました。川崎、横浜の方まで戻っていかれた方がかなり居たのだろうと思います。官房長官は「二次災害に繋がるから歩行での帰宅は控えて」といった話をしていましたが、そんなもので帰巣本能を止めることはできないのだなということを痛切に感じました。


 その中で実体験として私が感じたことを書き留めます。防災の専門家ではないので漏れがたくさんありますけども、昨晩15キロ歩いてみて感じたことです。


● コンビニ

ともかく、こんなにコンビニがライフラインになっていることを痛感したことはありませんでした。第一京浜沿いのコンビニはほぼ完売状態でした。多くの方がコンビニで食べるもの、当座をしのぐためにお腹に入れるものを調達しておられました。しかも、トイレの重要なポイントにもなっていました。これは政策的にどうすることができるものでもありませんが、ともかくコンビニの重要性を再確認しました。


● 靴

スポーティーなものがあるといいですね。特に私の周囲にはヒールのある靴を履いている方がいて、かなり辛そうでした。無粋な私は「ヒールの部分を折ればいいのに」と思ったのですけども・・・。私は安い革靴だったので、それ程難儀はしませんでした。靴下の替えがあるともっと良かったような気もします。


● トイレ

意外に難儀したのがトイレ。上記でコンビニが重要なトイレポイントになっているわけですが、何処も列をなしていて、すぐには用を足せる感じではありませんでした。男性ならば簡易的に用を足せるグッズがあるので、ああいうものがあるといいなと思いました。なお、私は品川の近くにある某財団ビルで用を足させていただきました。感謝の気持ちで一杯になりました。


● 小銭

コンビニしかり、開いている食事処しかり、やっぱりある程度の小銭を常備しておく必要がありました。自販機や公衆電話を使うためにも一定の小銭を常備しておく必要があるでしょう。


● ラジオ

こういう時の情報はやはりラジオです。ラジオで情報収集できるだけでかなり心強いものがあります。あと、淡々と一人で歩いているとつまらなくなるものでして、音楽など聞いて少しで気分転換できるといいのかもなとも思いました。


● 水やカイロ

昨日は寒かったので、あまり水が必要になることはありませんでしたが、夏ならば確実に水分が必要になる局面でした。コンビニの供給力にも限界がありますので、水は必ず常備しておくべきです。あと、昨日、私はコートを着ていましたけど、相当に冷えました。そういう時のために携帯カイロがあるといいと思います。


● 食べ物

15キロ歩くくらいですと、まあ空腹感も大したことがありません。ただ、甚大な被害が出てくるとどうしても食べ物に難を抱えるでしょう。色々な携帯食が出回っていますけども、私のお勧めは、うちの街の八幡製鐵所伝来の「くろがね堅パン」です。説明するのが難しいのですが、ともかく非常食としてはあれを超えるものはないと思います。勿論、日持ちしますし、よく噛むと甘みがあります。栄養価もあります。難点は堅いことなんですけどね。


● 携帯電話充電器

昨日の経験では、携帯メールは送れないし届かないけど、携帯からのインターネット接続は難なくできました。北九州とのやり取りは携帯メールではなく、私がインターネットに開設しているメールボックスにメッセージを送ってもらうかたちにしていました。本当はツイッターとかを活用すればいいのかもしれませんけど、私はやっていないので、ウェブ上でのやり取りにせざるを得ませんでした。その時でも、充電が減っていくのは心もとなくなるものです。充電器プラス電池は常備しておくといいように思います。


 いずれにせよ、あの15キロの歩きは私がある程度元気だからやれる所作です。高齢な方等にはあれは無理です。官房長官が都内にある色々な施設の開放を指示していましたけども、家に帰れない方に、ともかく暖が取れて、寝られるところを確保することが必要だと痛感しました。これから高齢化が進んでいく中、災害時の都心はむしろ砂漠地帯になることが想定され、取り残されざるをえない方への対応が新しい課題となることでしょう。


 最後に、今回の地震は迅速な対応が重要です。与党の一員として頑張ります。そんな中、官房長官が「補正予算の検討は『時期尚早』」という発言をしていたそうです。たしかに、今、この瞬間に補正の色々な需要を見つもったりすることは難しいでしょうし、その財源をどうするかまで踏み込むことはできませんけども、「その『時期尚早』という言葉は何とかならんのか。聞く人が聞いたら極めて不愉快。言葉を選ばなきゃ。」と素直に思いました。趣旨を変えることなくとも、「時期を見極めつつ、早急な対応ができるよう検討を進めたい」くらいのことは言えるはずなんですけどね。