ああいう制度改革関係について、我々のような外部から方針を提示した後、実はとても悩ましいことがあります。それは「法律改正をどうするのか」ということです。


 多分、呼んでおられる方は「何を言っているのだ。そんなのは大臣の指示の下、役所がやるべきだろう。」と思われると思います。。「再仕分け」が必要になったことからも分かるように、一般論として各所管官庁は本心ではこの事業仕分けについては面従腹背ですから、そんなに簡単でないのです。


 特別会計については「特別会計法」という財務省主管の法律がありますから、そこで各特別会計の制度にまで縛りをかけていくことはできます。ただ、それとて協議相手となる関係省庁からの抵抗は相当なものがあるでしょう。かつ、各省庁主管の法律改正ということになると、もっと足を引きずって、自分達のイニシァティブで閣法として国会に提出する労をとることをとても嫌がるでしょう。「やれ」と言って、すぐに動くほど柔なタマではありません。


 私が考えるやり方は2つあります。

1. 財務省主管の特別会計法+各省庁主管の法律をガチンコで国会に出していく。

2. まずはプログラム法として改革の大きな方向性を通して、各所管官庁の足を縛り、その後に1.のようなプロセスを辿る。


 本当は1.が良いのでしょう。ただ、嫌がる各省庁にタガを嵌めるためには、次善の策としては2.もありなのかなという感じがします。簡単に言うと、方向性と時間軸をきちんと書いた法律をまず通して、そこにぶら下がるかたちで、特別会計法を始めとする法律を立てていくという方法論です。


 平成24年度通常国会に、今回の事業仕分けの制度論のところを反映させた改革法を出すということですと、まず、来年の概算要求段階である程度の絵姿が見えていないとやれません。そうすると、実はもう作業を始めていくくらいでちょうど良いということになります。「再来年の通常国会に出すのにそんなに時間が掛かるのか」とお叱りがあるかもしれませんけど、概ねそんなイメージなんだろうと愚考しているところです。


 あと、話がそれますが、今回の事業仕分けでは、内閣府行政刷新会議の方々にとてもお世話になりました。基本的には各省庁から出向できておられる方達で成り立っている組織です。しかし、出身官庁の利害に捕らわれず、本当によく頑張っていただきました。官僚の本心としては「出身官庁から嫌われることをやるのは嫌だ」ということです。しかし、行政刷新会議の方々はそういったことを乗り越えて献身的にやっていただいていました。いずれ、出身官庁に戻っていく時にこの行政刷新会議での勤務がきちんとプラスに査定されないようにしなくてはならないと思います。


 あの事業仕分けが終わってから1ヶ月になります。色々あったよな、と思い出しています。そろそろ、事業仕分けそのものの話題は終わりにしようと思います。実はまだ書きたいことは山のようにありますが、それは個別のネタとして今後もご紹介していくつもりです。