特別会計仕分けの中で、農林漁業系の特別会計については一定の方向性が出せているのではないかと思っています。ただし、意味が分かりにくいので意図をきちんと説明します。


 該当する判定はそれぞれ漁船再保険及び漁業共済保険特別会計 農業共済再保険特別会計 食料安定供給特別会計 です。これだけを読むと、今後どういうふうになっていくことを示唆しているのかが分かりにくいでしょう。


 全体として発したかったメッセージは、以下のようなものです。


① 今後とも特別会計でやっていく。

② 農業、漁業という食料として食べるものについて、広い意味で国費がどの程度出て行っているのかという総覧性を明確にする(食料に関する業に伴う広義のリスク、変動に備えるため、どの程度の国費が出ているかを把握する。)。
③ 将来的な姿としては、農業も漁業も概念上交付と保険に分けて(制度として分けるかどうかはともかくとして)再整理して、もっと先にはその融合体とする。


 ①は良いでしょう。別会計でやることの意義のある制度であったということです。保険や戸別所得補償みたいなものを一般会計でやるのは難しいでしょう。


 ②、③ですが、まず前提を整理する必要があります。農業は災害等のリスクに備えるために農業共済があり、生産費と販売の差額を補償するために戸別所得補償(食料安定供給特別会計)があります。広い意味での「変動・リスク」に対して、この2つの制度で対応しています。漁業は実はちょっと経緯が違っておりまして、元々存在している漁業共済保険、自主的な追加的保険措置である「積立ぷらす」といった保険制度に対する国の補助の度合いを高めて行くことで、事実上の戸別所得補償制度に近いところまで持っていこうとしています。これらすべての変動・リスクに対する国費の出方をきちんと一つの会計で把握していくことはとても意味のあることだと思います。


 そして、将来的な姿としては、交付(お金を給付する)、保険(掛け金に応じたリスクヘッジ)の概念を農業でも、漁業でもきちんと明確に分けていくということがいいと思います。実はそういう分類がなされているように見える農業共済も中を見てみると、事実上、保険というよりも交付に近いようなものがあります(例:家畜共済)。


 そして、最終的には交付と保険を重ね合わせるかたちで単一の制度に昇華していくようなことが理想です。どちらかというと農業に関する共済と戸別所得を漁業共済の姿に近付けていくということなのかもしれません。その時には、今のような戸別所得補償制度ということではなくて、国から何らかの補助を貰おうとするなら、すべからく何らかの納付等の負担が必要となるということです。勿論、純粋な納付・給付が見合いの保険制度でなく、補助的要素を相当程度盛り込んだ制度になることは言うまでもありません。


 非常に漠然としたアイデアですけども、判定をした身としてはこんな意図があるということです。なお、このアイデアは私だけから出たものではなく、同期当選で農林・漁業に詳しい傑物議員からの示唆が相当程度ベースになっていることは申し述べておきます(ただ、同議員に迷惑がかかってもいけないので名前は伏せておきます。あくまでも判定に責任を持つのは仕分け人たる私ということです。)。