もう一つ法令モノです。「領海法」の改正です。これも何処かでやれないかなと思っています。内容はとても簡単でして、領海法の附則の以下の部分を削除するだけです。


【領海法】

附則
(特定海域に係る領海の範囲)
第2条 当分の間、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡(これらの海城にそれぞれ隣接し、かつ、船舶が通常航行する経路からみてこれらの海域とそれぞれ一体をなすと認められる海域を含む。以下「特定海域」という。)については、第1条の規定は適用せず、特定海域に係る領海は、それぞれ、基線からその外側3海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域とする。 
第3条 特定海域の範囲及び前項に規定する線については、政令で定める。


 これまでの外務省の答弁は「国連海洋法条約における国際海峡の実行についてはまだ固まっていないところがあるから」ということになっています。国際法に詳しい友人に話を聞いてみると、たしかにそれは事実だそうです。国際海峡をどう運用するかは国によって実行がまちまちだそうです。


 ただ、それはこの5海峡を「国際海峡にするかどうか」の問題ではなく、むしろ「国際海峡にした後、どう運用していくか」の問題です。「国によって実行がまちまち」だからといって、本来12海里まで主張できることを弱めて、これら5海峡を国際海峡としないという理屈は導けません。


 ましてや、外務官僚OBが「核搭載艦の通航と非核三原則の『持ち込ませない』との折り合いを付けるために、あえて特定海域というカテゴリーを設けた」と発言していたことを踏まえれば、時代のパラダイムも代わりつつあるこのご時世に、この領海法改正はやることに合理性があると思います。


 ただ、これをやると「核搭載艦の通過」をどう捉えるかという問題が出てきます。日本のこれまでの「非核三原則」の実行は「領海内通過も不可」というものでした。それは非常に簡単に言うと「核搭載艦の通過そのものが無害でなく、領海内無害通航権を害する」という理屈でした。しかし、国連海洋法条約では国際海峡には無害通航権よりも緩い通過通航権が定められています。沿岸国には核搭載艦だから通航を禁止するための法的ツールはありません。


 上記の法律改正をすればそういったところにも着手する必要があります。批准された国際法の効力は国内法よりも強いというのが日本の慣行である一方で、非核三原則は法律ではありませんから、別に追加的な改正作業が出るわけでもありません。


 まあ、こんな知的想像をめぐらせるのも仕事です。ある程度考えが纏まったら、党内に粉をかけて回ろうと思います。外務省は嫌がるでしょうけど・・・。