今回の尖閣諸島をめぐる問題について、思ったことは「中国があれこれと打ってきた経済措置はどの程度効く可能性があったのか?」という極めて根源的な点です。それ以外のことについては、決して無視してはならないことですが、経済面での措置に比較すれば二次的なものだと私は思っています。


 実はこの経済面での措置だけが実態がよく分からないのです。石家荘市のスパイ容疑の件は(恐らく)「やるためにやっている」ということだろうと、私は踏んでいます。ということで、関係省庁に経済的な措置について聴取してみました。概ね以下のような感じでしたので紹介させていただきます。


● レアアースとは、次世代自動車用のネオジム、ジスプロシウム、液晶や排ガス対応用のセリウムといったものがある。

● レアアースについては、生産は中国の独占状態だが、別に埋蔵のシェアが中国に極端に偏っているとまでは言えない。かつて、中国が安値攻勢で米国産を駆逐してしまったことが背景にある。今、日本企業がインド、カザフスタン、ベトナムで発掘を開始しようとしているが、すぐには中国からの輸出に代替できるわけではない。

● 日本へのレアアース輸出を止めると、結果として日本からのハードディスク輸出等が止まるため、結果として中国のレノボや韓国のサムスンみたいな企業も困ることになる。この事は中国にも指摘をしてきている。

● レアアースの国内のストックは年内は何とか目処が付いているが、年明け後は全く見通しが立っていない。結果として、レアアースの価格は、事件後、全体として上昇。通年で見ると平均で5倍近い上昇があった。

● 最近、日本企業から、中国からの輸出に際して通関で全品検査をするといった情報があり、今、実態を調査しているところ。なお、この手の規制の適用状況は地域によって相当な差がある。

● その他、チャイナリスクとしてあり得るものとしては、送金規制、技術移転要求、ローカルコンテント要求(中国産部品の使用を求めること)等があり得るだろう。 (注:日本で似たような措置をとろうとすると外為法の発動になります。厳格な手続きで閣議決定が必要になります。通常は、いわゆる「制裁」モノにしか発動しないものです。)


 こういう情報を得ると、たしかに「厳しい」と感じます。こういった情報は今回の意思決定の背景にはあったはずです。いずれにせよ、チャイナリスクは明らかになりました。レアアースの中には、他国での開発やリサイクルが可能なものがあります。少なくとも、そういうところには手を打っていくようにしたいと思います。


 これから一年間、経済産業委員会に身を置きますので、こういったテーマについて国会の側からしっかりとしたメッセージを発していきたいところです。