非核三原則の法制化について、議論が出ています。「持たない、作らない、持ち込ませない」という、いわば国是みたいなものです。これをそのまま法律にしてはどうかという動きです。


 基礎的な知識として、あえて言えば、既に非核三原則の内容は種々の法令によって担保されているのです。「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」等を通じて、内容的には非核三原則は既に実施されているのです。単に真正面から非核三原則について書いてないだけで、関係法令をすべてつなぎ合わせれば、持つ、作る、持ち込ませる、というすべてが不可能になっています。


 ということで、非核三原則をそのまま法制化したところで、法令上は追加的な義務は全くないと言っていいのです。あくまでも象徴的な意味合いでしかない、と言っていいでしょう。そういう現状を踏まえれば、実態的には「法制化してもいいし、しなくてもいい」という感じになります。


 ただ、私は法制化の議論を通じて、別の議論を巻き起こせるという意味において、この法制化の話は進めるべきだと思っています(そういう視点で推進すべしという議員は私だけでしょうが)。つまり、このブログでも何度か書いたとおり、宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、対馬西水道、大隅海峡の国際海峡化との絡みで、いわゆる「持ち込ませない」のところを緩めるべきだという議論を惹起する観点から、私はこの法制化の議論を進めることはあってもいいと思います(これら5海峡を領海とし、結果として国際海峡化する。その結果として、その領海部分を通る核搭載艦の通過は「持ち込ませない」の例外とする。)。逆に言うと、そこの「持ち込ませない」の解釈に踏み込むことがないのであれば、非核三原則の法制化の議論をスタートする意味は(象徴的にはあるとしても)実質的には全くありません。


 上記のとおり、私の「非核三原則の法制化を議論することの意義はある」という意見は、「非核三原則を法制化したい」と思っている大半の方々とはちょっと別の方向を向いています。同床異夢ではありますが、少しこの方向で走ってみてもいいなと思ってはいます。私の思う方向で議論が進むのなら、それは日本の抑止力政策に大きな風穴を空けることにはなります。


 若干、意地悪な投げかけではありますが、私の素直な気持ちです。そろそろ、国会の何処かで振りたいと思っています。