私が一年弱前に書いてみた質問主意書について、もう少し紹介したいと思います。ここまでの3つも含めて、それ程党派色があるようなものは書いていません。基本的には「できれば、文書で回答が欲しいモノ」ではあります。


 四本目は「国際海峡に関する質問主意書」です。これは「核の密約」問題と深く絡むものでして、このあたりの政策はどうなっているのか、明らかにしておきたいと思う議員は、与野党問わず存在していると思います。


【質問(案)】

 国連海洋法条約において、領海は十二海里まで認められることになっている。しかし、我が国は宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡を領海法において特定海域として十二海里を主張していない。これに関する政府の立場は「現在までのところ各国の実行の集積が十分でないという点がございまして、この制度につきましては不確定な面がありまして、そのような観点からも、現行の自由な通航を維持するということが適当だというふうに考えている次第でございます。(平成八年五月十五日 衆議院運輸委員会外務省政府参考人答弁)」というものであると理解している。


 これを踏まえ、以下のとおり質問する。


一. これら五海峡には公海部分が存在しており、当該部分は日本の主権が及んでいないとの理解でよいか。


二. 現在においても、国連海洋法条約における国際海峡の制度については各国の実行の集積が十分でないと考えるか。また、政府は、国際海峡制度は国際慣習法化しているとは考えていないのか。


三. 国連海洋法条約の中で、第十一部の深海底に関する部分を除き、各国の実行の集積が不十分な部分を具体的に提示ありたい。


四. 現在、国際海峡を主張することができる海峡において、自発的に沿岸国が領海の主張を控える、あるいは国際海峡としていないケースはどの程度あるのか(除、マラッカ海峡)。


五. 政府は、対馬海峡西水道では対岸の韓国は何海里の領海を主張していると承知しているか。また、宗谷海峡において、ロシアは何海里を主張していると承知しているか(南サハリンの帰属が未定であるとの我が国の立場はあるものの、ロシア側の主張についてどう承知しているかについて答弁ありたい。)。


六. 領海法においては、特定海域について「当分の間」との規定があるが、昭和五十二年(領海法制定時)から三十年以上経過している現在も「当分の間」は継続していると考えているのか。「当分の間」の長さに関する判断基準も含め、答弁ありたい。


七. 我が国は、核搭載艦の領海内通航は、国連海洋法条約でいうところの「無害」ではなく、かつ非核三原則との関係で認めないという立場と承知している。領海法上の特定海域の制度は、米軍の核搭載艦が日本海に国内法や国是との関係で問題なく入ることができるための配慮であるとの見方もあるが、政府の見解如何。


八. また、いわゆる「ブッシュ・イニシアティブ」によって、日本の領海を通過する米軍艦船には基本的に核兵器が搭載されていないと考えられる。これを踏まえれば、領海を制限し続けることには、経済上の利点をも損なう可能性がある。このような特定海域の必要性、合理性はあるのか。

【終】


 このテーマには政府も手が着かないですね。


 少なくとも、領海法改正案が国会に上がってきた形跡はありません。議員立法でやればいいのかな、と最近考え始めています。ただ、領海法を改正して5海峡で12海里を主張してしまえば、(その海峡における核搭載艦の通過を認めるためには)原子力や核物質に関する膨大な法律の山を改正しなくてはならないわけでして、それはそれで手に余るものがあるものがあります。


 弱気なことを言うようですが、膨大な法のシステムをいじろうとする時、国会側にはスタッフが十分ではありません。衆議院法制局がありますけども、内閣法制局に比べるとその力量には差があります。


 だから、上手くお役所を使う必要があるのです。それは別に悪いことではありません。