色々な評価がある事業仕分けですが、私が最近痛切に感じているのが「地方でもやるべし」ということです。国は最近、相当程度厳しい目が注がれるようになってきておりますが、地方自治体を見ていると、そうでないケースが散見されるからです。


 例えば、地方公務員の給与水準ですが、総務省のこのデータ では「国家公務員に比して低くなっている」ということは書かれていますが、その地域毎の平均的な給与水準に比してどうなのか、という視点では一切検討されていません。パッと見た感じだけでも、「うちの町の平均給与水準よりは高いような気がする」という気がします。


 といっても、最初の目的は「透明性の更なる確保」から「事業の効率化」というところに置いた上での事業仕分けとすべきでしょう。あまり最初から「カネ、カネ」言ってしまうと、何が主で何が従なのかが本末転倒になります。そこで市民、県民の判断に資するような情報をどんどん発出すればいいわけです。


 既に実施している地方自治体の数が増えてきました。一例として、北九州市近隣の直方市は比較的先駆的な役割を果たしてきたように思います。なかなか、市役所内部からは声を上げにくい改革案件を事業仕分けという手法を通じて実現したという意味合いもあるようです。


 ただ、この地方での事業仕分け、ハードルが幾つかあります。


 まず、地方自治体そのものが後ろ向きなことが多いようです。知り合いの市議会議員の方が市当局に事業仕分けの話を持ちかけたら「うちはしっかりと予算執行のレビューをやっていますから、全くそんなものは必要ありません。」とけんもほろろだったそうです。どんな地方自治体でも、こういうプロセスが一度はいると緊張感が違うのだと思うわけですが、一般論として地方自治体は国以上に事業仕分け的なものを嫌がる内向きの性格を持っています。これは首長の腹の括り方次第というところもあります。


 あと、地方自治体では「自治体職員=選挙区民」だということが、結構圧し掛かってくるようです。つまり、国の事業仕分けですと東京近隣の方が事業仕分けの直接の相手人ですから、仕分け人たる国会議員はそれ程「自分の選挙に直接響く」という感じでは意識しません。しかし、地方自治体では、議員が仕分け人になると、結果として、選挙区民であるところの公務員が相手人になるわけでして、「ここであまり嫌われてもなあ・・・」と何となく追及の手が緩むということになるみたいです。これを「志が低い」と批判するのは簡単ですが、同じく選挙を抱えている身として、分からないではない感情です。だからこそ、首長自身が一定のリスクを取って、こういう事業仕分け地方自治体版の推進力にならないと上手く行かないのでしょう。


 こう書いたところで、「さて、うちの町はどうだったけな?」と思ってしまいました。調べてみたいと思います。