以前、コメのミニマムアクセス輸入について、アメリカ産米のシェアを確約するような密約があるのではないかという疑義を呈したことがありました(ココ )。


 ということで、実際に調べてみました。この件は言を尽くすよりも数字がとても雄弁です。単位は1000実トンということで読んでください。アメリカ産米の輸入量を総輸入量で割った数字です。


平成 7年度  47.3%(194÷409)

平成 8年度  46.1%(215÷466)

平成 9年度  50.1%(273÷544)

平成10年度  47.8%(302÷632)

平成11年度  47.9%(313÷653) 

平成12年度  47.6%(330÷693)

平成13年度  47.6%(324÷680)

平成14年度  47.4%(322÷680)

平成15年度  47.1%(316÷671)

平成16年度  47.4%(322÷679)

平成17年度  47.4%(322÷679)

平成18年度  47.1%(319÷678)

平成19年度  51.7%(319÷617)

平成20年度  56.2%(382÷681)


 さて、どうでしょうか。ちなみに、アメリカ産以外の輸入元についてはオーストラリア、タイ、中国が大口です。ただ、これらの国のシェアは年によって相当程度違います。かつてはオーストラリアは10万実トンを超える実績がありましたが、近年は実績ゼロになってきています。逆に着実にタイ米が増えてきています。中国は相対的には安定気味です。


 まあ、この数字を見た際に「少なくとも平成19年度くらいまでは特定の意図が働いている」と見るのが一番素直でしょう。オーストラリアでの気候変動等で平成19年度、20年度は同国からの輸入実績が生じなかったことなども考慮すれば、事実上ミニマムアクセスでのアメリカ産米のシェアについては常に安定していたと見るのが自然です。貿易上の考慮だけではこんなに数字が安定することはありません。それはオーストラリア、タイ、中国のシェアが年によって異なることからも明らかです。


 私は裏約束の有無について事実を知りませんけども、普通に考えれば何らかの裏約束みたいなものがあると考えるべきじゃないんですかね、これは。本当は、この件は突き詰めれば日本の国家貿易体制がWTO協定違反だという結論を導き出しかねないところまで行くのですが、それはあまりに技術的すぎるのでこの辺りで止めておきます。