宮崎県での口蹄疫が大きな問題になっています。昼夜を分かたずの関係者のご苦労に深甚なる敬意を表するばかりです。


 まず、農林水産大臣の対応が遅いのではないかという批判があります。正直、この間、私は殆ど東京にいなかったので第一次情報を有していません。たしかに、大臣はメキシコ、キューバ、コロンビアへの外国出張に出ています。農林水産省の広報資料をパッと見た感じでは、これらの国と喫緊の課題があったのかどうか、私にはよく分かりません(課題が一切なかったという趣旨ではありません。「喫緊の」課題ということです。)。


 4月20日には既に感染例が出ていたこと、口蹄疫は空気感染を含め、感染力が非常に高いため、感染が発見されたら早い段階で殺処分が必要であること、しかも、口蹄疫が発見されたら周囲の家畜も殺処分が不可欠となること、それにはお金と人手がかかるので即決の判断が必要であること等を勘案すると、大臣は海外出張を取りやめて、現場で陣頭指揮を執った方が良かったように思います。


 口蹄疫は日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、特に英国で複数回発生しているため、外国に行くとよく知られています。私はあまり医学用語に強くありませんけども、フランス語で「fievre aphteuse」という単語が口蹄疫を指すことは知っています。結構よく耳にした単語だからです。それくらい外国ではよく知られている病気ですので、仮にドタキャンになっても、メキシコ、キューバ、コロンビアの農林大臣も「そりゃ大変だ」と理解をしてくれたことでしょう。


 あまり第一次情報を有さないため無責任なことは言えませんが、現時点では上記のような感想を有しています。それを踏まえ、もう少しだけ思ったことを書いておきます。


 一部のマスコミで「事業仕分けで畜産関係の独立行政法人や社団法人が切り込まれたせいで、今回は初動が遅い」といった論調を見ました。それは違うのではないかと思います。たしかに農畜産業振興機構という独立行政法人は事業仕分け等で切り込まれています。この機構は独立行政法人と言いつつ、事実上国の機関として強い権限を有しており、国家貿易等でも収入を上げている組織で、私はこの組織に切り込んでいくのは当然だと思ってきました。霞ヶ関の中でも「あそこは結構ヒドい」と言われる独立行政法人です。


 そもそも、こういう「事業仕分けのせいで初動が遅い」的な声は農林水産省や機構から出てきているのでしょうが、事業仕分けの結果として、どの部分がどう切り込まれたから今回の初動にどう影響したのか、是非聞いてみたいくらいです。別にこういうことを言うことで何かを正当化しようという意図はありませんが、今回の危機を利用して焼け太りを狙おうとする策動には注意しなくてはなりません。


 なお、私は今、特別会計見直しチームで、何故か農業共済再保険特別会計のチーム主査になっています。今回のケースは再保険のところまでリスク管理が上がっていくでしょうから、同特別会計の畜産勘定経由で保険金が出ることでしょう。だからと言って、この特別会計に手つかずでいいという結論にはならないと思っています。「農業共済の機能は不可欠」という前提に立ちつつ、制度改革自体は今回の事件には左右されないというスタンスです。