アフガニスタンでの麻薬の栽培が止まりません。今、どの程度の生産量なのかは(不勉強なため)よく知りませんが、ともかく増えていることだけは事実でしょう。世界の麻薬の生産の9割を占めるとも聞いています。

 まあ、これは買う人間がいるから作るわけでして、生産された麻薬は主にアフガニスタンの北部地域から隣国に出て行くことが多いような気がします。昔、タジキスタンのクリャブという街を通りがかった際、周囲とは不釣合いな豪華な家が建っていました。なんでも「麻薬御殿」だそうでして、アフガニスタンから出てきた麻薬をロシア→欧州に流していくことで儲かっている人がいるようでした。

 ちなみに、タリバーン時代、ケシの栽培を禁止しようという動きがありました。たしかにタリバーン時代もケシの栽培はあり、国際社会に非難されていました。ただ、国際的な圧力で禁止しようという動きはありました。そして、どの程度の効果があったのかは分からないのですが、一つ言えるのは、そのための具体的な動きもやったフシがありました。別にタリバーンを擁護するつもりはないのですが、事実は事実として知っておく必要があります。

 そして、かつて黄金三角地帯と言われたタイ、ラオス、ミャンマーでは、換金作物への転換が謳われ、かなりの成功を収めてきました。日本との関係では「ソバ」が有名です。ソバを食べる地域というのは、そんなに多くはなく、事実上日本が全量買い上げることでソバ栽培を実現したというケースもあったと記憶しています。

 換金作物と言っても、誰かが買ってくれなければ意味がない、ここに今のアフガニスタンの抱える問題があります。国際社会は「ケシから換金作物への転換」と軽々に言いますが、実際にはそれを買ってくれなければ、結局、農民はケシに戻ってしまうのです。麻薬は高価ですが、原料のケシについては非常に安価で買い上げられています。あれは加工の過程で、どんどん付加価値がついて末端価格がとてつもない額になるというのが実態です。なので、アフガニスタンの農民からすれば、ケシであっても、ソバであっても、何でも買ってくれるのであればそれを栽培する、ということでしょう。

 真の意味での国際協力という観点からは、ケシから換金作物への転換だけでは不十分であって、それを買ってもらうための仕組みづくりまでを考えなくてはなりません。そこで使えるのが、後発発展途上国への「無税無枠」制度です。これは後発発展途上国からの輸入については、関税ゼロ、枠もなしということにしようという国際社会の取り組みでして、日本でもかなり進んできているはずです(若干の例外と、非関税障壁がかなりありますが)。

 アフガニスタンは後発発展途上国です。ですから、この無税無枠を使えます。日本である程度消費の存在する農産品のどれかに目を付けて、その作物への転換を奨励し、それを日本が買い上げる、みたいな国際貢献が出来ないかなといつも思うのです。これは外務省、農林水産省、財務省・・・、多くの省庁が絡んでくるわけでして、それぞれの部局から絶対に出てこないアイデアです。

 アフガニスタンのケシの栽培を止めるには、これ以外に方策はないと思いますけどね。