現在、労働者派遣法改正が国会に上がっています。私は厚生労働の委員会には出ませんが、個人的に力を入れて勉強してます。思いを少しずつ書き連ねていきたいと思います。

 まず、いつ見ても「こりゃいかんだろ」と思うのが、派遣期間の制限がないいわゆる「専門26業務」についてです。例えば、登録型派遣や日雇派遣のようなものが可能である分野です。

 まあ、これが本当に「専門性が高く、非常に短期的にその能力が要求されることがある」というものばかりであれば、それはそれで派遣期間の制限を外すことが適当です。では、どんな分野が入っているかというと次のような業務無です。

ソフトウェア開発、機械設計、放送機器等操作、放送番組等演出、事務用機器操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、調査、財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、建築物清掃、建築設備運転・点検・整備、受付・案内・駐車場管理等、研究開発、事業の実施体制の企画・立案、書籍等の制作・編集、広告デザイン、インテリアコーディネータ、アナウンサー、OAインストラクション、テレマーケティングの営業、セールスエンジニアの営業・金融商品の営業、放送番組等における大道具・小道具

 ちなみに、この中で一番多いのは「事務用機器操作」でして、この専門26業務の範囲で雇用される人員の半数近くを占めていたはずです。場合によっては、単なる「ワープロ打ち」的な作業を含めて解している事業主がいます。それを知っている他の業種の事業者から「あれが専門26業務に含まれるのならば、うちの業務も派遣期間の制限を外してほしい。」という依頼をたくさん伺います。

 もしかしたら、かつては専門性が高いと判断されたような業務でも、現代性がないという分野があるのかもしれません。実は「事務用機器操作」については厚生労働省から「単なるワープロ打ちはダメ」ということでお達しが出てはいますが、それとて「文字の入力ではなく、図を書いたり、表の作成を行えばOK」ということです。今時、エクセル、アクセス、パワーポイントくらいなら、地域の市民センターで簡単な講座を受ければ誰でも出来るようになれます。こういうものは、そもそも「キーを打つのが珍しかった時代」の遺物のような気がしてなりません。

 更に、この26業種を見ていると「マスコミ利権」が多いなという気がします。どう運用されているかは知りませんが「放送機器等操作」、「放送番組等演出」、「アナウンサー」、「放送番組等における大道具・小道具」、どう考えてもマスコミ業界が事前に察知して押し込んだとしか思えないものです。何処かで誰かが押し込まないと「放送番組等における大道具・小道具」なんていう非常に限られた利害関係者の分野が入ってくることはないでしょう。

 私はこの専門26業務は見直したほうがいいと思っています。政令事項ですから、最後は国会審議がなくて閣議のみでいけます。よくよく現状を調べて、過不足なく不要なものと必要なものを仕分けた政令改正は期限を切ってやるべきでしょう。