米軍の基地移転の話で、ちょっと余談的な話を一つ。


 そもそも、この案件はどの役所が主管なのか、ということなのです。防衛省、外務省、内閣府・・・、それぞれがそれぞれの立場から関与していると言えばそうなのですが、日本は非常に特異な経緯があるように思えます。アメリカでも国防総省と国務省が噛みますが、まあ、どちらかといえば国防総省の方が前面に出てきます。


 1996年に普天間基地の移転が最初に提起され、それとガイドライン法案等と一体として進めていったのは、当時の田中均北米局審議官でした。ストラテジストとして、官邸の橋本総理と通じつつ、非常に上手く秘密交渉を進めていったのだろうと思います。その時、主導権を握ることができずに不愉快な思いをしたのが、当時の防衛庁官房審議官だった守屋武昌氏。


 逆に、2005-6年頃の米軍再編時の交渉は、完全に防衛省側が握っていたような感じがあります。多分、1996年時に良いようにやられた守屋氏が防衛次官になっており、その意趣返しとばかりに、外務省外しをやったというふうに私は見ています。


 非常に雑な説明ですし、その時々の防衛、外務の担当者の方々からすれば、「そんな簡単な話ではない」という反論もあるでしょう。単に、私が表で見ていた限りはそんな感じに見えた、それだけのことです。なお、私は外務省在職時に日米安保に「直接」関わったことは一度もありません。


 仮に私の上記の見方にある程度の正確さがあるとするなら、結局は属人的な要素がかなり働いているわけです。だから、どうにかできるものではないのかもしれませんが、そういう属人的な要素があまり働きすぎることは良くないんじゃないかねえ、と思います。