数回前に書いたエントリーの続きです。


 アフガン支援ですが、インド洋での給油を止めた後、仮に自衛隊の関与があるオペレーションを探るとするのであれば、「空輸」というのが考えられないかという示唆を専門家の方から頂きました。以下、同示唆を踏まえつつ、文責は私ということで書いていきます。


 あまり知られていませんが、現在、アフガンで展開しているNATO軍は補給に若干の難があります。今は北側の「スタン系」の国からの補給が多いのですが、既にウズベキスタン・ルートは米・ウズベク関係の悪化によりダメになっています。かつて、米軍は9.11後、ウズベキスタンのハナバード空港を使用していましたが、2005年の暴動を契機にアメリカは民主化要求を強め、今は空港使用がダメになっています(ドイツは細々とテルメズ空港を使っているみたいですけども)。現在はどうもロシア→タジキスタン経由での補給が多いようですが、これとて、例えばウクライナ情勢(近々、確実に揉める大統領選がありますよね)を始めとする幾つかの火種の一つが盛り上がり始めるとNATOとロシアの関係がこじれます。その結果、ロシアが臍を曲げてロシアが域内通過を認めなくなる可能性があり、北方からの補給は中期的には政治的脆弱性が予想されます。


 ということで、日本がイラクでやっていたような自衛隊によるNATO軍への航空輸送・補給を引き受けることは一案ではないかと思うのです。当時はクウェート等からバグダッドへの輸送だったはずです。そういう輸送オペレーションへの需要はアフガニスタンでも確実にありますし、安全性ということであれば、ダイレクトなboots on the groundよりは遥かに安全でしょう。金銭的にも相対的にはお安いほうでしょう。まあ、地理的に一番やりやすいのはパキスタンのペシャワールからカブールですね。ただ、ペシャワールはパキスタン内政がゴタゴタしていて何かと物騒な感じもあるので、もう一つの方策としてドバイからカブールへの空輸までをも視野に入れていいような気がします。ドバイであれば物資の調達もやりやすいし、色々な意味で便利だということもあります。


 たしかに、ドバイからカブールはちょっと距離があるというのは難点です。ただ、考えようによっては、イラン南東部のザヘダンあたりを中継地点にするということでイランの協力を得るということも考えられるでしょう。イランは今、核問題で叩かれているため、こういうオペレーションに乗って、国際社会に良い顔をするというふうに考えが向かないかなと期待したりします(希望的観測かもしれませんけど)。


 なお、バグダッドの空港というのは平地の中にあり、周囲からロケット弾で狙われやすいので、同空港を使う航空機は非常にアクロバティックな離陸、着陸を強いられていました。その点、カブール空港やバグラム空軍基地は(技術的なことは確たることが言えませんが)、グーグルの地図で見る限りはバグダッドに比して危険度が低いのではないかという気がします。


 まあ、今すぐに結実するアイデアではないのでしょう。ただ、オバマがアフガン増派を決断する際、あるいはアフガン情勢が少し長引いてくる際、何かタマを持っておいたほうがいいように思います。その一助になり得るアイデアだろうと思って、ここで提示させていただきました。