先日、とある専門家の方と話をしました。今日は、その方と話した際に出てきた良い(んじゃないかと私が思っている)アイデアを踏まえつつ、自分自身の思いを書きます。あくまでも文責は私です。


 まず、現在のテロ対策特別措置法ですが、何度も書きましたが、インド洋での給油活動はアフガニスタンのために行っているということにはなっていません。政治的にどう認識されているかはともかくとして、法律上、そういうことになっていないのです。こういう言い方はよくないのでしょうけど、給油活動がアフガンのため、という理屈は法律上も、実態上も無理があるでしょう。給油の実績など見ていると、最近はパキスタンへの給油が増加してきています。多分、パキスタン南部の公海部分での給油ではないかと思います。別にそれはそれで悪いことではないのですが、虚心坦懐に考えると「それってパキスタンが自国の沿岸でやっている海上警備、あるいはその延長じゃないの?」という気もします。それならそれで、支援のあり方としては「(金銭面で)燃料の支援」をやればいいのではないか、という気にもなります。


 ここで、北沢大臣が時折口にしていた「派遣目的を海賊対策に切り替える」というアイデアがあります。私は、第一印象として悪くないと思いました。何度も書きましたが、「海賊」というのは日本が批准している国連海洋法条約でも普遍的管轄権が設定されています(とてもザックリ言うと誰が取り締まってもいい、ということ)。その背景には、海賊行為というのが「人類共有の敵」だということがあります。人類共通の敵として認識されるものの中には、海賊、奴隷貿易、ジェノサイドあたりが含まれるのが相場です(ジェノサイドなどは定義が難しいところもありますが)。国連海洋法条約では、海賊は何処の国が取り締まってもOK、ただし、取り締まる際は取り締まる船が軍艦等、きちんと取り締まる権限を持っていること、といった規定があります。つまり、主として取り締まるのは軍艦(や海上警備隊的な船)でなくてはならず、商用タンカーが海賊をひっ捕まえるのはダメです。しかし、仮に内陸国で国連海洋法条約を批准しているモンゴルが軍艦を有していると仮定して、そのモンゴル籍軍艦が地球の裏側のアルゼンチン沖の公海上で海賊を拿捕するのはOKだということです。


 そういう国連海洋法条約の理念にかんがみれば、海賊を取り締まる行為自体は国際的に奨励されているわけであって、そこに給油というかたちで手を貸すというのは筋悪ではありません。今のテロ特措法によるインド洋での給油が不安定な法体系に依拠していると言うつもりは毛頭ありませんが、少なくとも、今のテロ特措法の根拠よりは海賊対策給油の方が遥かにケチを付けにくいということは言えるでしょう。国内法的にも論理構成はそんなに難しくないでしょう。臨時国会の質疑の中で、「テロ特措法の給油活動は海賊対策に『も』役立っている」と自民党の方が主張されていました。であれば、そういうふうに法律を設定すればいいだけのことです。


(ちなみに、海賊というのは国際法上テロリストと位置付けられるんだったけな、どうだったかな、と悩んでいます。まあ、太宗としてテロの一部だと捉えることになるはずですが、国連海洋法条約上の海賊の定義がすべてテロ行為となるかどうかは悩んでいます。単なる強盗行為の場合等は、許されざる行為であることは言うまでもありませんが、テロとは呼ばない可能性もあるのかなという気もしています。)


 もう少し、続きがあるのですが、時間的制約があるため後日にします。