2016年の東京オリンピックは残念な結果に終わりました。色々と思うことはありますが、今日は2つに絞って書いてみたいと思います。ただし、非常に特殊な関心です。


 まず、最初に「外務省フランス語組」として、いつも思うのは「IOCの公用語には英語とフランス語」だという事実です。まあ、近代オリンピックを開始したのがフランスのクーベルタン男爵ですし、IOCの本部があるのはスイスのフランス語圏都市ローザンヌということもあります。オリンピックでは常にどんな国で開催されても、フランス語でのアナウンスが必ず入ります。意外にフランス語の影響力というのも無視できないということです。プーチン大統領は、冬季オリンピックの候補都市選考の際、(話せるか話せないかは知りませんが)英語とフランス語でスピーチをして、結構なウケを取ったそうです。ということで、英語のみならず、フランス語でのプレゼンテーションに力を入れておくと、かなりのプラスが見込まれるということです。


 あと、もう一つ、こちらの方が重要ですが、IOCの委員には王族が非常に多いのです。パッと見た感じでも、これくらいの王族が入っています(名誉委員まで入れると、もっと王族が入ります)。


・ アルベール2世・モナコ国王

・ ノラ・リヒテンシュタイン王女

・ シェイフ・アフメドIOC委員・クウェート(王子等の称号は付いていませんが、王族のサバーハ家出身)

・ ルクセンブルグ大公

・ ナワーフ・サウジアラビア王子

・ タミーム・カタール皇太子

・ トゥンク・イムラン王子(マレーシア)

・ ハヤ・アラブ首長国連邦王女

・ アン・連合王国王女

・ ヴィレム=アレクサンダー・オラニエ公(オランダ皇太子)


 これらの王族の委員は、ちょっと我々とは発想が違うんだろうと思います。簡単にアプローチすることが難しい相手です。こういう方には、普通に石原知事や鳩山首相がアプローチするよりも、皇室メンバーがアプローチをする方が遙かに効果があります。今回であれば、ファン・カルロス・スペイン国王のアプローチはこれら王族の委員には相当程度効いたはずです。


 日本ではこういう時に皇室メンバーにお出ましいただくのが難しいことは分かっています。恐らく、石原都知事は宮内庁に打診したでしょう。そして、返ってきた返事も凡そ想像できます。「絶対に勝てますか?絶対に勝てることを保証してください。」くらいのことが宮内庁から返ってきて、さすがに途方に暮れたのだろうと思います。


 上手く言えないのですが、国際社会の相場観がある程度分かるが故に、こういった機会に皇室メンバーにお出ましいただけないかな、という思いが私にはあります。ファン・カルロス国王であっても、勝利を確信なきままマドリードのために足を運ばれているはずです。


 フランス語と王族、あまり注目されませんが、IOCの中では相当程度の影響を有しているんですよね。何とかならないかな、このあたり、とテレビを見ながら思いました。