この件ですが、非核三原則が「国内法になじむかどうか」みたいな議論があります。これについては、過去に書いたことがあります(ココ )。


 「なじむかどうか」と言えば、なじむんだろうと思います。というのも、化学兵器と生物兵器に国内法でそういう規定があるからです。化学兵器、生物兵器を核兵器と比べるのは不謹慎かもしれませんが、いずれにせよ、こういう非人道的なものはダメだということになっています。あえて、違いを指摘するとすれば、核兵器は実際に持っている国の存在が認められているけど、化学兵器、生物兵器は条約ですべて禁止していこうという方向性が世界にあるということです。

【化学兵器の禁止及び特定物質の規制に関する法律】

(禁止行為)
第三条  何人も、化学兵器を製造してはならない。
2  何人も、化学兵器を所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
3  何人も、化学兵器の製造の用に供する目的をもって、毒性物質若しくはこれと同等の毒性を有する物質又はこれらの物質の原料となる物質を製造し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
4  何人も、専ら化学兵器に使用される部品又は専ら化学兵器を使用する場合に用いられる機械器具であって、政令で定めるものを製造し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。


【細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律】

(禁止行為)
第四条  何人も、生物兵器又は毒素兵器を製造してはならない。
2  何人も、生物兵器又は毒素兵器を所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。


 しかも、非核三原則については、実質的に関連法律で担保されています。主たる法令として「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」というのがあります。非核三原則を法令化したところで、大した追加的法的義務はありません。どちらかと言えば、宣言的な効果があるということでしょう。


 私は非核三原則法令化は悪いアイデアではないと思います。ただ、その際に「持ち込ませない」というところの定義をどう考えるか、ということは議論していいでしょうし、更に派生して最近よく書いている「5海峡の国際海峡化」といったテーマについて、国防の観点から詰めた議論をしていけばいいと思います。


 とどのところ、「国是を法令化するのは宣言的効果はあるかもしれないが、追加的な法的効果は少ない。むしろ、その過程でこれまでグレーになっていたところを明らかにしていけばいい。」、まあ、そういうことです。過去に書いたエントリーの焼き直しですいません。