核の密約(その1)で「宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡」の5海峡については、日本は領海として12カイリを主張せず3カイリに留め、この5海峡に意図的に公海部分を作っているという話を書きました。その後、とある有識者と話していた際に「・・・ということは・・・」と気付いたことがありました。別に真新しいことでもないのですが、一応書き連ねておきます。


 対岸が外国である宗谷海峡(サハリン)、対馬海峡西水道(韓国)について、当然、日本側が3カイリを主張するとしても、相手が12カイリを主張しているんじゃないかと思ったのです。日本が3カイリしか主張していないことを知った両国が日本との中間線で収めようとするはずがないような気がするのです。私が韓国人、ロシア人なら、日本が3カイリしか主張しないなら、その分までうちが貰ってやろうという気になるはずなんです。ここは両国の領海法を参照してみる必要があります。


 そして、Google Mapで目視した限りでは、それでも公海部分が残るくらいの距離がありそうです。ここまでの前提が正しいとすると、両海峡については、こういうふうに理解することができるように思います。


(海峡全体)=(日本の領海3カイリ)+(公海部分)+(対岸の国の領海12カイリ)


 さて、ここで日本が仮にこれら2海峡での領海部分を12カイリ主張し、結果として相手国との中間線で領海を分け合ったと仮定しましょう。その場合の海峡の分配はこうなります。


(海峡全体)=(日本の領海αカイリ)+(対岸の国の領海αカイリ)

<αは12未満の数字>


 ということは、現在の日本の政策は「本来、日本の領海になることができる部分が、対岸の国の領海になっている」ということじゃないかと思い始めました。単に日本が領海として主張できる部分が公海になっているということではなくて、韓国領、ロシア領になっているのではないかという疑念が頭をもたげてきました。


 これは日本の主権を狭める行為というだけでなく、日本の主権(を潜在的に主張できる海域)を法律で正式に他国に献上しているということになるんじゃないかなと気になります。これはよく考えてみたら、北方領土、竹島に匹敵するくらい筋が悪い行為なのではないかと思い始めました。


 まあ、この話は韓国とロシアの領海法を見て判断しないといけませんので軽率なことは言えませんが、韓国人やロシア人が、日本が3カイリで自制している時にそれに乗じない可能性は希少ですね。多分、これらの国の領海法は、日本の領海法と同じように「基線から12カイリが領海。相手とぶつかる時は基本的に中間線」みたいな書き方がしているのではないかと思うので、彼らの基本的認識は「日本とぶつからない以上、うちの領海は12カイリ」と主張するような気がするんです。


 ちょっと複雑な印象をもたれた方が多いかと思います。分かりやすく書いたつもりですので、よく読んでください。その問題の所在をご理解いただければ、深刻な気持ちになると思います。