先日、フランスがアラブ首長国連邦に基地を置くことで、両国が合意してサルコジ大統領とハリーファ首長が会談していました。


 それ程、数は多くないようですが、多分欧米の国でアラブ首長国連邦に恒久的な基地を置区ことになるのはフランスだけではないかと思います(かつて、首長国の一つシャルジャに英軍がいましたが今は撤退しています。)。フランスとしては、初の中東での基地になります。


 何のために置くのかなというと、勿論、フランスとして中東情勢のフォローという思惑はあるでしょう。イランの主要都市バンダル・アッバースはもうすぐ目の前です。その他、イラク情勢、アフガン情勢、色々と理屈をくっつけることは可能です。


 ただ、既にペルシャ湾には米軍がガッチリと入り込んでいます。イランはフランス軍が目と鼻の先に基地を設けることに嫌がっているようでもありますが、カタール、クウェート、サウジ、バーレーン、そしてイラクには米軍が入っており、あえてここにフランスが入ってきたからと言って、別に追加的な抑止力的役割を果たせるとは思えません。原油輸送路の確保とか色々と言われていますけど、それとて何となく「ふーん」という感じです。



 私が一番最初にピンッと来たのは、(既にそういう見方が報道でも披露されていますが)「武器販売と関係があるんじゃないの?」ということです。世界で一番盛り上がる兵器・武器の見本市は、実はドバイの国際兵器見本市や航空ショーです。しかも、今、世界で武器・兵器を購入するお得意先の上記3番目くらいにアラブ首長国連邦が入ってきています。上位2つは中国、インドでして、気前の良さから言えば恐らくはアラブ首長国連邦が一番ではないでしょうか。今回のサルコジ訪問でも、アラブ首長国連邦の保有するミラージュ2000を新型のラファルに買い換えるよう、サルコジがハリーファに説得するというミッションがあったくらいです。


 オイルマネーで良い武器・兵器を買いまくるのですが、勿論、オイルマネーでスポイルされてしまったアラブ首長国連邦国民に上手く使いこなせるはずもありません。百戦錬磨のイランなんかと戦ったら、多分どんなに立派な武器・兵器を持っていても役立たずなんじゃないかと思うんですよね。しかし、中東は緊張状態が常に継続していますので、アラブ首長国連邦は最高水準のものをどんどん買って、基地に並べています。そのセンスは私にはよく分かりません。ましてや、メンテナンスも出来ないでしょう。アラブ首長国連邦では、そういう汗臭い仕事は全部南アジアから来た人達に投げてしまう傾向があります。


 そういう状況下で、売込みとかアフターサービスとかも込みで、軍産複合体の思惑が一致して、フランス軍の基地をおくことにしたのではないかと思っています。出来るだけ近くに軍がいた方が見本を見せやすいし、きめ細かく売り込みも出来るし、売った後の対応もしやすいでしょう。逆に考えると、それくらいのメリットがないと、あのケチなフランスがホイホイとアラブ首長国連邦に膨大な資金を投入して、基地を設けることはないんじゃないかと思ったりもします。


 ちなみに、フランスは近々ルーブル美術館の分館をアブダビに建設します。近々原子力発電所を作るビジネスも成立しています。どれもこれも、兵器・武器(と石油)の匂いがプンプンします。こういうところの巧みさというか、意地汚さというのはフランス特有のものがあります。


 邪推なのかもしれませんが、今回の基地開設の記事を読みながら、煮ても焼いても食えないフランス人商人の姿が頭から離れません。基地の名前は「Camp de la paix(ピース・キャンプ)」、本当に平和に繋がるかなとちょっと思ったりします。