【本エントリーはとある国会議員の秘書の方からアイデアを頂いております。感謝申し上げます。】


 先日、厚生年金病院や社会保険病院を今月中にも売却する手続きを始めるということで報道が出ていました。厚生労働省が与党に説明をしたみたいです。売却相手は公益法人や医療法人、地方自治体のみということです。病院毎の個別売却が基本だけど、病院存続のため纏めての売却も検討するそうです。


 実は私の選挙区に厚生年金病院があります。「九州厚生年金病院」と言いまして、私は昔から馴染みが深いです。近年(と言っても少し前ですが)建て替えまして、今は北九州市八幡西区岸の浦というところに非常に立派な病院があります。地元にとても根差した病院でして、この「厚生年金売却」がどうなるのか、非常に関心を持って見ています。


 元々は年金のお金で建てられたものでして、今は独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」が保有しているかたちになっており、この独法は来年9月まで存続していますので、それまでに何とかケリを付けるということなのでしょう。


 この資料 を見てみると、平成18年度では全国に10ある厚生年金病院のうち4つは赤字ですが、九州厚生年金病院は平成19年度では10.23億円の黒字、累積剰余が63.1億円の黒字です。しかも、九州厚生年金病院は支出・収入ということであれば、東京や大阪の厚生年金病院よりも規模が大きいことを知りました。「あの新宿にある東京厚生年金病院よりも支出・収入が多いのか(そりゃ、大したもんだ)」と驚いてしまいました。


 ただですね、今はこの厚生年金病院は固定資産税を払っていませんから、売却後に固定資産税が賦課されるようになると収支はもっと厳しくなります。あと、これは邪推の部類に入るのでしょうが、それ以外にも実は蓋を開けてみれば「えっ?」と思ってしまうような、国費からのゲタが履かされているんじゃないかなと気になっています。職員の給料等の人件費の一部が別枠で出ているとか、施設の減価償却費が繰りこまれていないとか・・・。ともかく、常識的に考えれば、10億円もの黒字が出るのであればすぐにでも民営化可能な組織のはずでして、そんなに大騒ぎすることないわけです。全国的にトータルで見ても黒字ですから、そもそも「年金保険料の無駄遣い」と言われる筋合いのないものです。むしろ、利益を上げているわけですから、優良な組織と言えます。そうであれば、今、こうやって売却の可否が議題になること自体が変ですよね。蓋をあけて見た時に何が出てくるのか、注意しなくてはなりません。


 私としては、ともかくこの九州厚生年金病院が存続してもらうことが最優先でして、良いかたちで機構からの継承が行われていくことを望むばかりです。


 ところで、この「年金・健康保険福祉施設整理機構」なんですが、これまでも年金福祉施設等を売却してきています。その売却業務委託先 を見ていると、一般入札ではあるものに、特定の会社が比較的多く委託を受けていることが分かります。その一方で、この機構には企業からの出向者 が結構います。


 ・・・、ここで気づいた方がおられると思います。出向者の親元企業(又は関連企業)と売却業務委託先とが非常に重なり合うような気がしませんか。偶然なのかもしれませんが、この資料を見比べると「李下に冠を正さず」という言葉が胸に去来します。表に出ている資料からだけですと、「利益誘導」とか「情報漏洩」といった疑いすら出てきかねません。


 「かんぽの宿」で変な疑惑を惹起した件があるだけに、こういうことには目を凝らしていきたいものです。変なかたちで、近所の病院が売却されていくことは断固として拒否したいと思います。