麻生総理が予算の大臣復活折衝は形骸化しているから止めるべし、という指示を出していました。これは的確な指示だなと思いました。目立たない案件ですが、評価に値するでしょう。


 予算の折衝というのは、大体、各省庁の課長補佐クラスが財務省主計局の係員に説明し、各省庁の課長が主査(課長補佐クラス)に説明し、各省庁の局長が主計官(課長クラス)に説明して・・・と、大体、こんな感じです。お気付きでしょうが、必ず各省庁は財務省よりもランクが一つ上の人間が足を運んでいるわけです。そして、事務方がギリギリ折衝したけど決着がつかなかったものを、大臣レベルで折衝するということになっています。すべて、各省庁(大臣を含む)から財務省に足を運びます。このプロセス全てが財務省の権限の源泉となっています。


 麻生さんも総務大臣時代に、たしか復活折衝で谷垣財務大臣のところで消防車の模型を持ち込んで、何かを説明していたのを思い出します(消防庁は総務省主管)。


 ただ、これには裏があって、大臣同士で折衝する前にもう事務方で「この案件を大臣折衝に残しておきましょう」という合意ができていて、そのための予算も確保してあって、大臣折衝自体は完全なセレモニーなのですね。大臣に花を持たせてあげるためのセッティングがされているだけなのです。


 麻生総理は総務大臣や外務大臣を経験する中で、「これは意味がない」と判断したのでしょう。これは良い決断ですね。日本社会には、具体的に意味合いは低いものの、特定の人の自尊心を満足させるためだけに出番を作るというくだらないプロセスが時折あります。特に政治の世界には散見されますね。そういう場のセッティングにはとても気を使います。そういう「お山の大将対策」ものを減らしていこうという動きは歓迎していいと思いますね。


 本当に大臣折衝をやりたいのであれば、事前のセッティングのないガチンコでやればいいのです。それは意味があると思いますね。ガチンコでない大臣折衝を廃止するという麻生総理の動きは歓迎したいところです。役所の無駄な作業の軽減になるでしょうし。