1週間前くらいに北朝鮮の外交官に禁足令が出ているのではないかという情報が駆け巡りました。そこから「金正日の健康が相当に悪化している」みたいな話になっていました。私はそれらの情報の真贋を確認する術を持っていませんが、かつて出会った北朝鮮外交官のことを思い出しました。


 日本は北朝鮮と国交がないので、北朝鮮外交官と出会うことはありませんが、世界には勿論北朝鮮と外交関係を有している国はたくさんありますし、国際機関で北朝鮮の外交官と出会うことも稀ではありません。


 何となく私が感じたのは、「色黒い人が多いんだよな」ということです。「(いわゆる)労働」のせいなのか、「酒の飲み過ぎ」なのか判断しかねるのですが、ともかく純粋な日焼けとは言えないようの色の黒さというのがありました。


 あと、これは西アフリカのセネガルにいた際にも北朝鮮外交官と出逢うことがありました。国交がないのであまり積極的に接しないようお達しが来ていたため、直接のコンタクトはありませんでした。まあ、お達しがなくても、そもそも接するような機会もなかったのですが。


 というのは、北朝鮮の外交官はどうも自給自足的なところがあって、移動は自転車、公邸では畑を耕していました。時には首都ダカールの一角で「北朝鮮フェア」みたいなことがあって、キムチ、朝鮮人参といったものの販売展示会が行われていました。ああいう収益が大使館の運営資金になっているんだろうと思います。もしかしたら、よくインテリジェンスの世界で言われるような「スーパーK(偽ドル札)」なんてのも、もしそれが真実ならば同じ発想(偽札を外国で捌いて収益を上げ大使館運営資金や生活費に充てる)なのかもしれません。


 日本の感覚では、外交官が任国で自給自足でやっているというのは想像できないかもしれません。私のいたセネガルにいた、駐セネガル・カンボジア大使というのは、私が時折行っていた「バイヨン」というレストランのオーナーでした。当時でも駐セネガル大使となって20年近く、恐らくポルポト政権、あるいはそれ以前の政権から派遣された大使で本国からも完全に忘れられていると思います。完全に自給自足でしたね。古めかしい車に乗っていましたが、たしかにナンバーは外交官ナンバーでした。


 自給自足とは言えませんが、一昔前の(きっと一部では今でも)中国大使館というのは結構1階がレストランになっていることが多かったです。つまりは大使館員用のコックがついでにやっているのだろうと思います。「まかない飯」みたいなもんでしょうか。


 別に結論めいた話はないのですが、北朝鮮外交官に禁足令と言っても、きっと一部の大使館や代表部だけだろうな、あのセネガルの北朝鮮外交官とは縁のない世界に違いない、そう思っただけです。