中国新疆ウィグル自治区のカシュガルでテロ事件が起きました。北京オリンピックとの関係は明確ではありませんが、まあ、それなりに因果関係があると見る方が普通でしょう。 この地域はトルコ系住民が大半を占め、東トルキスタン独立運動というのが長らく行われてきました。ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン等を後背地としており、なかなか根が深いです。たしかに人種的・文化的な相関性だけを見るのであれば、このカシュガルは北京よりもイスタンブルの方が近いかもな、と思わせられます。


(バザールの中のお土産屋さん)


(よく見る西瓜の山、山、山)



(洒落たチャイハナ(茶店)でくつろぐ)


(カシュガル市内で(何故か)アフガン帽を被って)

 
(観光地で現地のお姉さん達と)

(よく見るイスラム色豊かな光景)


 著名な探検家スヴェン・ヘディンの本などにも出てきます。非常にしたたかな人達が住む地域で(これはネガティブな意味合いはありません)、ヘディンも非常に難儀したようです。


 ただ、こういったテロ行為が行われるようになったのは、そんなに昔の話ではありません。特に自爆テロといった行為が行われるようになったのは最近のことです。「それくらい不満が溜まっている」と見ることもできますが、むしろ「そういう文化が持ち込まれた」と見た方がいいように思います。対ソ戦争ですら行われなかったアフガニスタンでも、今では時折自爆テロが行われますからね。


 欧米ではこういう自爆テロを「Kamikaze」と呼びます。そう、日本の特攻隊のことですね。私もよく「kamikazeとはsuicide bombingを意味するんだろ?」と聞かれたことがあります。「いやいや、神聖なる風という意味でね。かつて13世紀、蒙古襲来の際ね・・・・」と説明させられたことは一度や二度ではありません。


 自爆テロが早い段階で導入されたのはスリランカと中東和平関連です。それが今では中央アジアから

ヨーロッパまで幅広く使われるようになりました。この自爆テロはある程度の洗脳がないと実践できないことにかんがみると、一般的に「テロ」と考えるのではなくて、「なんで、自爆テロを行うところまでの精神状態に行ったのか」ということを個人のレベルで考えていくことが求められますね。時折、「抑圧(supression)」だと言われますが、私は正確には「剥奪(deprivation)の感情」だと思っています(この違いは大きいのです)。そういう感情が欝々と溜まっているところに、導火線にボッと火がつくきっかけを与える人達がいるということです。


 ところで、最近の自爆テロで気になるのは女性・子供が増えているということです。実は女性の方が自爆テロは成功しやすいのです。スリランカではかなり早い段階から女性による自爆テロが常態化していました。スリランカにせよ、中東にせよ、女性は比較的ゆとりのある服を着るので身体のラインが分かりません。イスラムの戒律の厳しい地域では顔すら出さないので人物はチェック不可能です。そういう状態でお腹にダイナマイトを巻きつけるわけです。どんなに厳しくチェックしようとしても、男性兵士だと女性の身体を触りまくるわけにもいかないので、チェックが行き届かずに、自爆テロが要人の側や重点地域で成功してしまうわけですね。


 子供に至っては、内容物を伝えないまま、「あのおじちゃんにこの箱を届けてきて」と子供に頼んで、子供がその場所に行ったら遠隔操作でドカンとやるという卑劣なパターンがあります。これは自爆テロというよりも、何か別のテロ行為だと考えた方がいいでしょう。


 どんどん主体が多様化するテロ、そして場所についても地下鉄の中、コインロッカー・・・、あちこちで行われます。正直なところ、完全にテロを封じることはできないでしょう。例えば、どんなに強権で警備をやっても、中国全土を抑え込むことは無理です。自爆テロに手を染めるということは、やはりそこまで覚悟する原因があるわけですね。普通の抗議行動ではなく、自爆テロにまで至ってしまう、その原因を根本から取り組まないと結局は解決はないわけです。陳腐ですが、それ以上の結論を持っている人がいたら教えてください。