ガソリン税の暫定税率部分に関して、議論が百花繚乱ですが、その前提として私は「なんで、これは暫定措置法なのだろうか。本当に必要だと思うなら、本則税率に組み込んでおけば良かったのに・・・。」というそもそも論に思いを致しました。
今、「暫定措置法」という名前がつく法律は、下記のものがあります。
● 深海底鉱業暫定措置法
● 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法
● 外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法
● 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法
● 関税暫定措置法(ここにガソリン税の話が入っている)
● 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法
パッと見で、農水省関係が多いなと思います。その他、「暫定」というテーマで法令名検索をすると53件出てきましたが、半分くらいは奄美群島、小笠原群島が本土復帰する際の法律の暫定適用のもので、その他のものも上記の法律を受けた政令等が多いです。
何故、農林水産省所管の法律に暫定措置法が多いのか。無理筋の話があるので、財務当局等との関係で恒久法にすることができず、「暫定措置法」にせざるを得なかったのかな、なんていう邪推すらできてしまいます。一つずつ「なんで暫定措置法なのか?」という、その暫定性をきちんと検証してみると意外に面白いものが出てくるかもしれません。
あと、同種の話なのですが、法令用語に「当分の間」という言葉があります。かつて、外務官僚時代に
時折見ていた法令用語でしたので、それなりに使われているんだろうなと思い、法令検索をかけてみたら、法律から政令・勅令レベルだけでも515件もヒットしました。府令・省令レベルまで下がっていくと、1425件もヒットしました。その中には、戦後間もない時期に作られた法律等の中に盛り込まれた「当分の間」というのもあります。60年経っても「当分の間」というのは続くのかねぇという気はします。かつて書きましたが、「当分の間」の中にはこういうテーマ もあります。
法律というのは作る時は結構ギリギリ検証することが多いのですが、一旦できてしまうとその後は放置されてしまうことも多いです。作る時に「いやいや、これは『当分の間』ですから。」と丸め込まれて、その後、半永久的に「当分の間」が続いてしまうことがあります。
まあ、ガソリン税の「暫定」税率は34年続いているのに、定率減税等の「恒久的」減税は8年程度で終わるのはおかしい、なんていうちょっとウケ狙いの議論はあまり私は好きではありませんが、それでも、こういう暫定措置法の有する暫定性とか、法令用語としての「当分の間」の捉え方にもうちょっと気を配ってみていいのではないかと思います。私には一つ一つ検証する力も時間もありませんけど、法令等作成時にこういう時限性のところで逃げを打つというのは、何かそれなりの裏があると見るのが素直でしょうしね。