チベット問題との絡みで、中国が聖火リレーで「聖火防衛隊」なるものを受け入れるよう日本に要請しているそうです。


 結論から言うと「あんなものを受け入れてはいけない」というのが私の意見です。彼らがやっていることは事実上の「警察行為」です。日本の主権に大きく関わる話です。イギリスやフランスは受け入れていましたが、多分彼らがああいう存在だと知っていたら受け入れなかったでしょう。


 私は法学部にいたくせして法律があまり得意ではないのですが、聖火を奪う行為は強盗でしょうし、それを毀損する行為は器物損壊でしょうし、場合によっては暴行も成立しそうな感じです(間違っていたらすいません)。いずれにせよ、日本の国土の中で行われる犯罪を取り締まるのは、日本の警察であるということは論を俟ちません。正当防衛や緊急避難が成立しうるかという論点になると、私は既に「?(分かりません)」となってしまいますが、まあ、常識的にはないでしょう(誰か教えてください)。


 日本国内で外国の官憲が実力行使できるケースというのは多分ないと思います(あっても相当に例外的)。犯罪人引き渡し、捜査共助なども、日本国内で日本の官憲が実力行使した結果を相手国との関係でやり取りするだけです。国の主権というのはかくも重要なものだと私は思います。おいそれと外国の官憲相当の勢力が実力行使をすることを認めてはなりません。


 そもそも論になりますが、この件は相互主義が成立しないんじゃないかと思います。仮のケースですが、2016年に東京オリンピックが決まったとしましょう。その聖火が北京を通るとします。日本が「反日勢力による聖火奪い取りが懸念されるから、日本の警察学校出身で選りすぐりを『聖火防衛隊』で出したい。」と申し入れを行っても、返ってくる返事はほぼ100%、「ダメ。ご心配なく、中国の警察を信頼してください。」となるはずです。


 何が何でも中国が受け入れを求めてくるなら、これは主権事項ですので、本来ならば日中間で条約(要国会承認)でも締結して、そして国内法を整備する必要があります。勿論、その際には厳格な相互主義を求めることが大前提です。しかし、そんな時間はないでしょうし、中国側は受けないでしょう。


 別に中国政府に嫌がらせをする必要はありませんが、筋論は筋論としてきっちり通してほしいと思います。泉国家公安委員長は否定的な見解を示しているので当面、安心して見ています。まさかまさか、日中友好の美名の下に譲ることはないと信じていますが。