ここ1、2年、麻生外相によって日本のアニメ文化を国際的に売り込んでいこうという機運が生まれてきました。キャプテン翼がアラブの国ではキャプテン・マージドだということは、同外相の得意ネタになっています。


 私がフランスにいた時、たしかにマンガ文化は相当に根付いていました。フランス語ではマンガのことは本来「BD(Bande Dessinee)」と言うのですが、既に10年前でも「Manga」というコーナーがありました。友人から「ランタロウ(フランス語にはインという音は非常に例外的で私の名前はこう呼ばれる)、カンシロウを知っているか?」と聞かれたことがありました。「カンシロウ?知らんなあ」と思って、「知らない」と答えたら、「おかしい?あの『アータタタタタ』というヤツなんだけど」と言ってくれてようやく分かりました。「北斗の拳」のケンシロウのことでした。たしかにフランス語で「Kenshiro」と書くと、カンシロウと発音するのです。


 あと、当時よく見たのは「Nicky Larson」、これはシティーハンターです。なんで、「Nicky Larson」なのかはさっぱり分かりませんでしたが、非常に人気がありましたね。


 ただ、一番人気だったのは「ドラゴン・ボール」、これは相当に人気が高かったです。知らない子供はほとんどいなかったでしょう。孫悟空はそのまま「Son Gokou」でした。大学の友人たちと仮想大会をやった際、そのうちの一人がピッコロの格好をしてきたことがあり、一位になっていました(なお、私は顔に相当する部分だけ穴を開けたストッキングを頭から被って、、頭のところに靴下を2つくっつけて、鼻を黒く塗って「犬」という題で出たら非常に人気を博しました。)。


 私は実はフランス語の勉強に「ドラゴン・ボール」のマンガを非常によく使いました。外国語を勉強する際、一番難しいのは「実は母国語の人なら誰でも知っている言葉なんだけど、通常幼年時に覚えるために年齢を経た後、あえて意識して学ばない言葉、表現」です。ちょっとした当たり前の表現、言葉を覚えるためには、子供が読んで理解できるものを素直に読んでみるのが一番だと思って、相当真剣にドラゴン・ボールを熟読したものです。結論から言うと非常に有益でした。ストーリーを知っているだけに、「ああ、こういう時はこういう表現になるのか」と感心させられたものです。


 あとは幼児用言葉辞典みたいなものを買い込んで真剣に読んだこともありました。「でんぐり返し」みたいな単語はなかなか学ぼうと思っても学べるものではありません。5歳児用の本を真剣に読む20代の青年の姿は気味が悪いですが、非常にためになったのを覚えています。


 まあ、日本のアニメ文化はたしかに外国に根付いています。イギリスは音楽の面でかつてビートルズから1980年代のデュラン・デュランなどくらいまで「British Invasion」とまで言われたものです。全世界的に相当な外貨をイギリスに今でももたらしていると思います。かつてブレア首相が訪日した際、タワーレコードでお客さんに対して「イギリスのCDを買ってください」みたいなキャンペーンを張っていました。日本がマンガで同じことを実現できるのなら、それは我々は胸を張って良いと思うわけです。