ローカルな話題ですが、麻生福岡県知事の資金管理団体に九州電力の幹部がこぞって個人献金をしていたことが結構大きく取り上げられていました。九州電力の取締役クラスが(恐らくは)ほぼ義務的に、個人の資格で献金をしていたのです。


 これだけだとあまり明確じゃないので、もう少し解説します。今、企業・団体からの献金というのは政党だけが受けることができるようになっています。となると、知事みたいな地方自治体の長はすべからく無所属なので企業献金の可能性はほぼ閉ざされます(政治資金パーティーくらいか)。考えられる可能性としては、自分を推薦してくれた政党にまず献金してもらって、そこから自分の資金管理団体に寄付してもらう(政治団体間の寄付)という可能性がありますが、そんなことをやったら既に無所属とは言いづらくなるのでまずやらないでしょう。


 なので、ここでは個人献金のルートしかないのです。1名が行える個人献金は、1つの政治団体に対して150万円を上限としていて、5万1円以上は収支報告書に名前が出ます。新聞を読む限りは、九州電力幹部が行ったすべての個人献金が5万円以下なのでどうやってそれが九州電力の幹部だと分かったのかは興味深いです(多分、報告書に名前を出したくないので1人あたり5万円の献金までで止めていたと思われる。)。麻生知事の行為は表面上(多分法律上も)違法性はないのですが、知事任期途中までは問題がなかった企業から個人への献金の道が数年前に閉ざされた結果、企業献金分を募れない部分を何とかカバーしようとした苦肉の策だろうと推察されます。


 逆に政党に所属する者は、政党経由で企業・団体献金を頂くことが可能です。一旦、政党で献金してもらった後、政治家個人の資金管理団体等に資金を移動することは完全に合法です(し、その方法が一番ポピュラー)。何故、政党だと良いのかという理由は私には分かりませんが、一つには政党本位の政治を行っていくという方向性があるのだろうと思います。もう一つは政党は支部を含めて樹形図的なかたちで把握できるので相対的に金銭の流れが見えやすいということもあります(通常の政治団体だとぐるぐるとお金を政治団体間で移動されると完全に迷路状態になります。)。


(今の政治制度では、国会議員であっても無所属の方というのは非常に資金面等で苦労するようになっています。造反組と言われる方達が復党を希望したことの理由の一つに「企業・団体からの献金が受けられない」ということもあるんじゃないかなと思っています。そういう中、無所属ながら絶大な集金力を持つ某元経産大臣には驚きます。)


 ただ、そういう中、あまり注目されませんでしたが最近面白いニュースがありました。福岡県内でここ数年で自由民主党の政党支部の数が右肩上がりで増えているそうです。これまで「政党」と簡単に書いてきましたが、これには政党支部も含まれます。つまりは政党支部を増やせば増やすほど、企業・団体献金の受け皿が増えるということです。2006年12月時で福岡県内の自民党支部は154もあるそうです。ちなみに我が民主党は17です。


 何故、こういうことが起きるのかというと、恐らくは地方議会の議員方が影響力を増してきて、総支部(衆議院議員又は候補予定者が代表を務める)を経由しないで各級議員が自分で企業・団体と直接やり取りができるようにしていったということでしょう。政党内部でのパワーバランスが少しずつ転換しているのだと思います。極端なケースだと1人の議員が2つ以上の支部を持っていることもあるようです。これで献金の上限額は(1企業が1年に行える献金額を超えない限りにおいて)2倍になります。ここまで来ると、そろそろ「脱法行為」という言葉が頭をよぎります(違法とは言えないでしょう、多分。)。


 これはいただけません。これを突き詰めると、例えば政党支部をどんどん細分化してすべての地方議員に認めることも可能です(上記の通り、すべての地方議員に複数の支部創設を認めることも可)。そこまでやってしまうと、政党で一元的に管理でき、それが一般の国民の方にも把握できうるから、という現制度の利点はほぼ意味がなくなります。福岡県だけで154もあれば、それを体系的に把握したりすることはほぼ無理です(福岡県にある総支部(衆議院選挙区)は11なので、平均で1つの選挙区内に14程度の支部がある計算になる。そのまま全国に適用すると、「自民党」という政党だけで4000以上の窓口がある計算になる。)。収支報告書を閲覧に県庁まで行っても、その膨大さに諦めてしまうでしょう。


 上記で述べた「政党以外は企業・団体献金が受けられない(ため、企業幹部による個人献金で代用する)」ということはともかくとして、後段で述べた「政党の支部をとてつもなく細分化していく(ことで現制度を有名無実化する)」という点は厳格化の方向で制度改善の余地があるんじゃないかと思っています。ちょっとオタクなテーマですけど、どうでしょうか。