ここ10数年、テレビを見ていていつも気になっていることがありました。特に1995~1999年まで海外に居た後、帰国した際に非常に気になりました。


 それは「なんで、こんなに字幕、テロップが画面にたくさん出てくるのか?」ということです。冒頭述べておきますが、私は聴覚に難を持つ方のために字幕、テロップを使うことは不可欠だと思っています。私が言うのは、聴覚に難を持つ方用とは到底思えない字幕、テロップが非常に増えたということです。


 1980年代半ばくらいまでは字幕、テロップを使うことはあまりなかったように思います。それが最近ではかなり多くの番組において、日本語できちんと話していることをわざわざ字幕にしたり、非常にきつい色合い、図柄で画面に文字がバーンと出て来るようなことがあります。


 この現象について私は密かな仮説を立てていて、「実は日本人は耳で聞くだけでは理解できなくなりつつあるのではないか?」と思っています。耳で聞けば理解できるはずのことが理解できず(理解するのが面倒くさく)、視覚で補足しないと完全な理解が覚束なくなっているのではないかと思ったりします。自分自身見ていると、たしかに字幕が流れると耳と目という2つのルートから情報が来るわけですから楽です。あと、テレビに出る日本人の話し方がハッキリしなくなったので字幕が必要になったという面もあるのかもしれません。


 世間には「低俗番組」と言われるものがあります。私が小さい時は「ドリフ」「ひょうきん族」がよく指弾されていました。今の「低俗番組」と比べるとかわいいものです。まあ、今はかなり低予算でヒドい内容の番組が増えているので比較はできませんが、私は実は「低俗番組」よりももっと深刻なのは「字幕がないと理解できない子どもが増えること」ではないかと思っています。