まず、これ を見ていただけますでしょうか。


 これは東京都小平市が出しているもので、市で行われている事業について何にお金を使って、そのお金は何処から(市、都、国)出ているかを示した資料です。冊子として230円で販売しているそうです。


 こういう取組は非常に良いですよね。何に予算を使っているかというのも良いですが、何処から予算が出ているのかが明示されているというのが新鮮です。私達は行政が行っていることの原資は「税金」だということは分かっていますが、どういう税金から事業が行われているかについてまでは知らないことが多いです。「ああ、実はこの建物には市のお金だけじゃなくて国からも補助が出てるのね」といったことを知ると意識も変わるのではないでしょうか。


 私の住む北九州市には俗に言う「ハコモノ」がたくさんあります。正直なところ「えっ?」と思うものもかなりあります。使われていないハブポートや商業施設、採算が合わない競輪場など、まあ見るも無残なものも多々あります。ただ、よく見てみると市の債務は、「これだけ(変な)ハコモノが林立している割には」少ないのです(債務が少ないということではありません。あくまでも「ハコモノが多い割には」です。)。前の末吉興一市長というのはこういうのが上手い方でした。以前、「街づくりというのは職人芸みたいなところがあって、補助率の高い補助金を積み木のように組み合わせながら一つの事業に仕立て上げていくのは難しい」ということを言っていました。多分、そういうことなんだと思います。


 ただ、国の補助金や事業であれ、県であれ、市であれ、いずれにしても元々は我々のポケットから出て行くお金です。国だと国民全体が負担しているので市民への負担は薄まっていて、市だと市税が原資になっているのでモロに市民が負担する、そういう程度の問題です。決して国から補助してもらっているから良いんだとモラルハザードになっていいことではありません。また、補助率が高いとは言え、純粋に国の事業でもない限りはやはり市税による負担はあるわけです。


 そういう意味で私はこういう小平市の取組を北九州市(や他の市町村)でもやってほしいと思っています。職人芸であるハコモノ自体を見てもそれがどういうふうに組み合わせられているのかはさっぱり分かりませんし、また、どういうお金の使われ方をしたのかもよく分かりません。しかし、一市民として私はそういうことが知りたいです。


 ただ、こういうことをお役所は嫌がりますね、ほぼ確実に。何かケチを付けられるのではないかとか、批判されるのではないかといったことをお役所はまず先に考えます。そして、都合の悪い事業は取り上げないとか、見栄えのいい指標だけを使うといった挙に出てきます。お役所の書類というのは受動的にボーッと見ていると目くらましに遭います。書いてあることだけでなく、「何が書いてないか」ということにまで気を配って読むと見えてなかったものが見えてくるものです。なので、この手の取組を本当に公正にやるには厳しい市民の目が必要になります。


 ちょっと話が飛びますが、お役所文書を読む時にはこういうところに落とし穴があります。
○ 主語や述語がよく分からない場合(意外な盲点ですが逃げ道としてよく使われます。)
○ もっと簡単に言い換えられるはずなのにそうでない場合(安倍晋三総理に多いです。)
○ 「等」が付く場合(霞ヶ関の掟では「等」が付く時は「この『等』には何が含まれますか?」と聞くのが通例です。)
○ 「努力」、「検討」が使われる場合(これは「努力」、「検討」したけどダメなこともあるし、そうなる可能性が高いという意味です。)、


 なお、この小平市の小林正則市長。私が尊敬して止まない政治家の一人です。あまりゴチャゴチャしたことは言わない方で、むしろ背中で語る感じの方です。こういう情報を徹底的に開示していこうという姿勢を貫いてほしいと願ってやみません。