最近、「平場で議論することの重要性」ということをよく思います。国政をめぐる色々なテーマについて隔靴掻痒のことが多いのです。


 年金について納めたものはすべて給付に使うという法案が出ますが、これについて「何がマズいのか」ということが分かる人は少ないでしょう。しかし、与党筋からはボンヤリと「反対」という雰囲気が出てきます。多分、収めた年金をすべて給付に回すと年金の特別会計で処理していたものが一般予算でやらざるを得ないということになるので財務省が難色を示しているということなんだろうなと思いますが、それとて何処まで真実なのかは私には分かりません。。


 政府による天下り斡旋を徹底的に禁止しようという法案についても与党から反対が出ています。官僚の抵抗があるというのは分かりますが、時折聞こえてくるのは「それをやると幾つかの社会システムが回らなくなる」ということです。しかし、私には何がどういう理由で回らなくなるのかが分かりません。特殊法人や独立行政法人などのポストが埋まらなくなるということなのかもしれません。


 テロ特措法についてもそうです。以前、私はこれはアフガンのテロ対策ではなく、イラク向けの米軍艦船への支援になっているんじゃないの?という疑問を呈していましたが、この件について漸く世論に火がつき始めました。江田憲司議員が報道2001で指摘し、その後石原自民党政調会長がサンデープロジェクトで詰められた際しどろもどろでした。


 まあ、何が言いたいかというと、これまではともすれば与党の事前審査の段階でお役所と与党議員の間だけでのみ比較的ホンネの議論が行われていたんですね。上記で挙げた例についても、実は内々では話をしているんですね。その結果として、国民の目から見ると「なんでそうなるの?」と思えてしまうことも、何となく表の場では議論することを封じられていたわけです。これまでは封じていても、衆参で与党が多数を持っていたので最後は「ええい!」と採決してしまえば良かったのです。


 これからはそうも行かなくなりますから、どんどん平場で議論していけばいいと思うのです。納めた年金を支給だけに使うことに財務官僚が反対するのなら、財務官僚(勿論財務相も)に表舞台で説明してもらえばいいのでしょうし、天下りを禁止すると社会システムが回らなくなるというなら何故回らないのかを官僚の親玉官房副長官に説明してもらえばいいのでしょうし、テロ特措法についてもどんどん平場でその意義と成果を問い直していけばいいのです。


 これまで、あまりに多くのホンネの議論が、お役所の中やお役所と与党の間だけでなされてきました。そして一般の方はキツネにつままれたような、煙に巻かれたような気になっていたものです。参議院選を経た後に起こる一番大きな変化は「平場での議論がどんどん行われるようになる(かもしれない)」ということだと思うんですね。今後は平場での議論に耐え得ないものは排除されていくような政治文化が根付くんじゃないかなとちょっと期待しています。


 抽象的な議論ではありますが・・・。