今日は珍しく地元北九州の宣伝をさせていただきます。本当は宣伝だけで止めておこうと思ったのですが、最近ある方から「地元の政治課題も書いた方がいい。福岡新空港問題などどうか?」と言われたので、正直に思うところを書いておきます。


 わが北九州には空港があります。正確には北九州市と苅田町(「かんだ」と呼びます)の境にある空港です。海上空港ですので夜遅くまで飛ばしてもOKという珍しい空港です。東京で日帰りをする時など、夜、恐らく一番最後に羽田から出る航空便は北九州行のはずです。私は上京する際は大体最終便で帰るので、人も疎らになった羽田空港には慣れてしまいました。そういう意味では非常に便利です。北九州空港に運行しているのはJAL、ANA(羽田)、日本トランスオーシャン航空(那覇)、中国南方航空(上海)、そして北九州-羽田間で飛ばしている新規参入のスターフライヤーズ(SF)です。頑張ってほしいと思っているのはスターフライヤーズ、経費削減の努力があちこちに見て取れる航空会社です。放漫経営との噂が絶えない某社とは大違いです。


 どの航空会社もなかなか所期の搭乗者や貨物を確保することは難しいようです。下記にも書きますが、福岡空港があまりにロケーションが良いこともハンディキャップです。上海便の増便が予定されていたのですが、中国南方航空に一方的に袖にされました。空港自体は「深夜でも飛ばせる」というメリットがあるため、ギャラクシーエアラインズという会社が貨物便の運航でそれなりの収益をあげていると聞かされていましたが、昨年8月に会社自体が廃業してしまいました。


 北九州空港の周辺には大分空港、宇部空港、そして福岡空港と空港が3つもあります。空港間競争は非常に激しいですね。しかも、福岡空港は市内から非常に近いという利点があります。あんな便利な空港は途上国以外では見たことがありません。そして、福岡空港は現在、過密状態です。私は福岡空港がどの程度過密で、需要・供給がどうなっているのかについては詳らかにしていないものの、まあ、過密だというのは肌で感じることができます(と言っても、最近は殆ど福岡空港を使いませんが)。


 そして、今、福岡県では「新福岡空港」が大きな議論になっています。これは、過密状態解消のため、福岡市の隣の新宮町の沖合に海上空港を作るプロジェクトです。福岡市の財界や福岡県知事は相当に前のめりのように見えます。率直な感想は「止めといた方が賢明。どうせ失敗するから。そんな時代じゃないのよ。」というものです。聞くところによると1兆円近いお金がかかるとか。今の福岡県にそんなものを作る余裕なんかありません。県庁に聞けば、色々と数字を持ってきて、如何にこの海上空港がペイするかを説明してくれると思います。しかし、そういうデータがどうやって作られるかを知っている元お役人出身としては、正直なところそんな数字を見る気にもなりません。知事も4期目になると、大型ハコモノで自分の足跡を残したがるものなんでしょうかね。古代エジプトのファラオじゃないんだから、大型ハコモノで後世に名を残さなくてもいいと思うのですが。


 かといって、かつて選択肢として掲げられた「福北連携」、「空港間協力」というアイデアについても、私は幾許かの疑問を持っています。簡単に言えば、福岡空港が持っている機能のうち、幾つかを北九州空港に持ってこようということです(例:国際線、貨物・・・)。「連携」、「協力」という言葉は美しいのですが、福岡市と北九州市が何を連携するのか吟味する必要があります。それぞれが享受している既存の利益をよこせといってもどだい無理な話でしょう。麻生知事は既にこの選択肢を排除しています。


 私はこの手の話では、基本的には「連携」、「協力」という甘い言葉でコーティングすることなく、健全な競争関係の中で、取りに行く姿勢が大切だと思います。その気概なく、「連携」、「協力」を訴えれば、福岡空港から北九州空港に何か業務移管がなされ、それで北九州空港が潤うと考えるのならば、まあ、無理でしょう。そもそも、今、福岡空港が過密になるのは、それだけの競争力を持っているからであり、それを無視して業務移管しても上手くいかないはずです。「連携」を唱えるのは、それが具体化しない限り、誰も痛まないので楽しいのでしょうが、結局、総論賛成・各論反対ということになるのは目に見えています。


 ということで、福岡空港の過密状態については、現在の空港に滑走路を増設するのが一番現実的じゃないかなと思うわけです。上記の新空港については、どんなに知事や福岡市の財界が気張っても、国土交通省がうんと言わないような気がします。それが普通の感覚でしょう。そして、北九州空港はそれに負けないようなサービスを提供できるように企業努力するしかないでしょう。厳しい意見です。しかも、私は、どうすればそういう企業努力が可能なのかについて具体的なアイデアを持っているわけではありません。なので、「『連携』や『協力』にケチだけ付けて対案を出さないとは無責任なやつだ」と言われそうですが、現在の北九州空港を作った時点で、我が北九州市はそういう厳しい道を選んだのだと私は思っています。


 こういうことを書くと、(狭義での)北九州市の利益にならないのであまり評判は良くないでしょう。実は民主党福岡県連の見解ともかなり違います。ただ、北九州にはあまりに「連携」、「協力」という言葉の段階で止まっている人が多いので、あえて異論を述べてみました。


 だから、皆様、九州北部に来る際には是非、北九州空港をお使いください。北九州市は言うまでもなく、大分県北部、山口県西部、福岡県北部くらいまでなら相当に便利です。私は上京する時は基本的に北九州空港を使い続けたいと思っています。