日本とフィリピンの自由貿易協定が発効しました。熱帯果物が安くなるとか(日本は「熱帯果物が入ってくると日本産の果物が売れなくなるという迂遠な理由で熱帯果物に結構な関税をかけていた)、日本の自動車がどんどん入っていくとかありますが、一番メディアの関心を引いているのが「フィリピン人看護士が入ってくる」ということだと思います。これはサービス(人の移動)の自由化という分野に当たります。


 人数は看護士や介護士で当初は200人ということのようです。しかも、4年以上働きたければ日本できちんと資格を取りなさいということまで決まっています。かなり渋ちんな結果だなとフィリピン側は思っていることでしょう。特にフィリピン経済を支えているのは海外で働く同胞からの送金が大きいので、できればもっと日本で働くフィリピン人を増やしたいという思いがあるはずです。まあ、看護業界を仕切る厚生労働省とその裏の族議員が激しく抵抗した結果がそういうことなのだと思います。


(ちなみにフィリピン人のメイド、看護婦が最も多いのは中東の産油国です。何故かサウジ・エアーはマニラとリヤドの直行便があります。メイド便とも言われています。私はかつてスリランカ(同じくメイドが多い)のコロンボからヨルダンのアンマンへの直行便に乗ったことがあるのですが、周囲はすべてスリランカ人のメイドさんでした。飛行機に乗るのが初めてなことと見知らぬ土地へ行く不安で機内が騒然としていたのを今でも覚えています。中東で彼女達はかなりヒドい扱いを受けているようで、そういうのと比較すると日本で働くことはとても有利な条件なのだろうと思います。)


 ただ、私は外国人労働者のサービスを制限しようとする流れに対して、それでいいのかなという疑問を払拭することができません。これから日本の人口はどんどん減っていきます。私がジジイになる頃には人口が1億を切っているかもしれません。そんな中、日本の経済の活力を維持していくためのコツは外国人を積極的に受け入れていくことではないかと思うのです。


 今、フィリピン人看護婦を受け入れることに反対している人の中に30年後、40年後の日本の姿が見えているでしょうか。私は今34歳ですが、40年後には74歳です。今から将来を予想することはできませんが、もしかしたら志村けんのコントに出てくるような偏屈ジジイ になっているかもしれません。その時に支えてくれる世代は本当にいるのかなと思うと甚だ不安です。少子化対策に現時点では貢献していない身で恐縮なのですが、私が志村けんのコント張りのジジイになった際に面倒を見てくれるは実は外国人看護婦になるんじゃないかなという気がしてなりません。


 日本はこれから人口が減っていくことは必定です。私が生まれたのが第二次ベビーブームの最盛期。私の年代が大学入試センター試験を受けた人数が最も多かった世代です。それから18歳人口は減っていくばかりです。日本がこれから繁栄を維持していくためには、活力があって、能力がある外国人を如何に迎え入れるかということに掛かっているような気がしてなりません。インド人エンジニア、フィリピン人看護婦・・・、そういう人達が日本を支える一端になってくれる日はそれ程遠くはないような気がします。


 そのためには多くのことが必要です。外国人への寛容さとか、外国人を積極的に受け入れるだけの政治的意思とかあると思います。今の日本では、ともすれば外国人が増えることと犯罪が増えることは同義であるかのような風潮もあります。そういうのを克服しながら、外国人を迎え入れて日本社会の活力を維持していくことが必要なんじゃないかな、そう私は感じます。


 このテーマは中国、韓国、北朝鮮との関係を含め、色々な意見があると思います。日本の文化に鑑みれば、その純血性をできるだけ維持すべきという見解も拝聴に値すると思っています。御異見、御批判、大歓迎です。