北九州市の若松区というところに「ひびきコンテナターミナル」という場所があります。場所はここ です。


 なんでも国際的なコンテナターミナルを作ることで釜山に対抗するハブポートにすると銘打って、総事業費2000億円で作られたそうです。北九州には別途門司や小倉に港があり、福岡市にも立派な港があります。既に機能しているそれらの港でまかなえないような需要があるのかどうか、普通の人なら疑問に思うところですが、ともかく巨大なコンテナターミナルを作ったわけです。私は構想の細かいところにはあまり精通していないので、詳しく知りたい方はこちら をご覧ください。


 しかし、やっぱり上手くいきませんでした。噂では稼働率は6%。60%なら「まだ許してやるか」という気にもなりますが6%です。どういう見積もりをしたら、こんなとんでもない結果になるのか、是非計画を見てみたいと思いたくなる惨状です。この手のことにあまり関心のない愚母ですら「あんなもん作って」とブーブー言っています。


 ということで、先日近くまで立ち寄ったので車をコンテナターミナルの方に向けてみました。それはそれは感動しました。ひと気がしないのですね。しかも、ターミナルの中に積まれているコンテナの数がとても少ないのです。6%の稼働率、さもありなんという気がしました。




 
 ターミナルの奥まで行くと、人の気配がします。予想通り、釣り人でした。釣りをしている方に「釣れます?」と聞いたら、ターミナルのおかげで海流の流れが少し変わったため釣れるそうです。この計画を進める際、市議会で共産党から「釣堀になるのが関の山だから止めろ」と批判されたそうですが、全くその通りになってしまいました。


 ターミナルの会社は既に多額の負債を抱えています。最近、会社の規模を大幅に縮小するという決定がなされました。よく分からないのですが、市から相当な支援がなされない限り潰れてしまうのではないでしょうか。個人的には市の港湾整備特別会計にも関心がありますが、特別会計の裏蓋を開けたら腐臭がしていて、そのまま閉めたくなるような状況でなければ・・・と願うばかりです。


 しかし、これはさすがにヒドいですね。誰がどういう判断でやったのか、その見通しはどうだったのか。絶対に許されない無駄な公共事業の爪あとをまざまざと見せ付けられました。総事業費が2000億円、どの程度国からお金が出ているのかは知りませんが、市や県の予算から数百億円は出ているのではないかと思います(正確な数字を知っている方がいたら教えてください)。100万都市北九州ですから、このターミナルがパーになったら、市民一人の負担は数万円ということになる算段です。「おい、このために何万円も負担してるの?勘弁してくれよ。」、多分、100万市民の99.9%がそう思うでしょう。


 こんな遺産を抱えてスタートした北橋新市長。その苦悩たるや、想像するに余りあります。