インド映画の「Dil Se」を見ました。「心から」という意味だそうです。映画の一シーンで主人公アマール(シャールーク・カーン)がメグナ(マニーシャ・コイララ)に「愛している、心から」と伝える時に出てくる言葉です。


http://en.wikipedia.org/wiki/Dil_Se


 この映画は1998年に大ヒットしたものです。インド映画に付き物の音楽はあるのですが、非常に社会派の内容で多分日本人がイメージするおちゃらけ系インド映画ではありません。日本でも限られた映画館で上映されたようですが、本当に限られた人しか知らないと思います。日本でも十分評価に耐ええる内容であるだけに惜しいです。


 ストーリーは・・・、と思って書こうとしたのですが、この映画、色々と伏線が張られていて、しかも背景が事前に分かってしまうと面白さが半減するので簡潔に書いておきます。誰もいない駅でメグナに出会ったアマールは一目ぼれをするのですが、メグナはアマールのアプローチに一切反応しません。熱烈なアプローチにも一切応じないのには、とある事情があるからなのですが、交わりあいそうで交わりあわない二人の姿はラストシーンまで続きます。そして、劇的なラストシーン・・・、書いてみて何の紹介にもなっていないことに気付いてしまいました。私の筆力のなさのせいです。まあ、インド内政が抱える問題に翻弄される二人の哀しくも切ないラブ・ストーリーということにしておきます。日本でもちょっと努力すれば入手可能のはずです。騙されたと思って見てみてください。「そんな映画を実際に見るつもりはないがストーリーは関心がある」という方は「Dil Se」で検索を掛けてみてください。超ネタバレのサイトが幾つかありますので。


 主人公はシャールーク・カーンとマニーシャ・コイララ。シャールーク・カーンはどの映画もちょっと演技が大げさなのですが、まあボリウッドを代表する俳優と言っていいでしょう。インドに行くと、彼の顔がフィーチャーされた宣伝をたくさん見ます(自分で作った映画会社が上手くいってないのでCMにたくさん出て埋め合わせているらしい)。私は素直に彼をハンサムだと思うのですが、コタツで私の横に座って全く意味が分からないまま(字幕は当然英語。母は日本語字幕ですらついてこれない。)2時間半インド映画を見させられた我が母親によれば「あまりハンサムではない」そうです。


 それよりもヒロインのマニーシャ・コイララが光る映画でした。評論家に言わせると「演技が下手な女優」ということらしいですが、この映画では「幸薄い女性」を演じていました。顔は東洋系です。コイララというとネパールに多い名前のはずです。たしか、ネパールの元首相のコイララと縁戚ではなかったかと記憶しています。この映画では終始スッピンで出ています。私の基準では美人の部類から少し外れますが、グッと惹かれるところのある女性です。少なくとも、映画の後半に出てきて愛嬌を振りまくだけのプリーティ・ズィンターよりは遥かに存在感のある顔だと思います。一応サイトを一つ書いておきますが、関心のある方は「Manisha Koirala」で検索してみてください。いくらでも画像は出てきます。


http://www.bollywoodpicturesgallery.com/manisha_koirala_01.htm


 この映画、インド内政のとある問題と深く関わった内容であることから、インドの辺境地域ラダック地方のシーンがたくさん出てきます。私がこよなく愛して止まないチベット文化の地域です。最近では「もうちょっとチベットに詳しくなってみよう」と思って、「岩波講座 チベット仏教」などという学術書まで読んでます。人間的に変な方向に向かいつつあるのではないかと心配になります。そんな戯言はともかく、かつて行ったことがあるラダック地方(中心都市はレー)が映画に出てきてちょっと懐かしくなりました。遠からずあの地域もユネスコの世界遺産になるでしょう。そして観光客が増えて、つまらない街になっていくでしょう。行くなら今です。ラダック地方、超お勧めしておきます。


【ラダック旅行記】

http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-10012590684.html

http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-10012590713.html


 最近、BRICsとか言って、日本でもインド熱が盛り上がりつつあります。その割にはインド映画が日本でメジャーになりません。残念です。韓流映画よりは良い出来をしていると思うんですよね。ある国を知りたければ大衆文化からスタートする、これは私の親友コヤマという男の手法です。彼はロシアを知るのに、ロシアのロリータ文化から入って、日本でブレイクする前のTATUなどに関心を持ち、そして今ではロシア語ができるようになったという男です。そういう大衆文化から国を知るという手法は良いと思うんですよね。インド映画、インドを知るにはとても良い教材です。最近、(理解できずに明らかにつまらなさそうな)母を尻目にテレビをインド映画で占拠しています。


 最後に、インドの女性に「I love you, dil se」と言ってみたらどうなるか、そのエスプリを評価してもらえるかどうか、関心があります。私は気が弱いので言えませんが、誰かチャレンジしてみてください。