この住所、私が生まれ育った場所です。18歳までこの住所でした。


しかし、今、この住所は既に存在していません。「別の人が住んでいる」のではなく、「存在していない」のです。Googleの地図検索で入れても出てきません(一番場所的に近いのは鉄竜2丁目14-1)。私宛にこの住所でラブレターを送っても勿論、届きません。


理由は簡単です。私の住んでいたアパートがなくなったからです。地名の「鉄竜」で分かるとおり、新日本八幡製鉄所の社宅でした(隣町は「鉄王」。当時は当たり前でしたが別の土地から来た人には少し驚きがあるようです。)。鉄の街北九州での鉄冷えに伴い、社宅はなくなってしまいました。私の生まれ育った場所は跡形もなく、「うーん、この辺りに玄関が・・・」と思う場所には立派な一戸建てが建っています。

今でも覚えているのが、小学校1年生のときには同級生が150人近くいて、クラスも5クラスあったのが、6年生で卒業するときには80人を切り、2クラスしかありませんでした。子供心に「なんで、皆転校していくのだろう?」と思ったものです。そして、社宅は次第に寂しくなっていきました。私の父親は素行が良かったのか、悪かったのか、早い段階で子会社に出たので、私はずっと製鉄所ファミリーのど真ん中で過ごし続けました。


昔は社宅だけで運動会、納涼祭、ソフトボール大会など、製鉄所丸抱えの行事が行われていました。そんな時代は既に遠い昔のものとなりました。同じ社宅にいた人達が今何処にいるのかなど、全く分かりません。


地元に帰省した時、跡形もない自分の育った場所を見ながら、少しだけ感傷的になりました。