「溝」と言っても人間関係の溝といった深遠なテーマではありません。あの道路の横にある溝のことです。私個人の経験では立ちションをしたり(幼少時から●歳くらいまで)、かくれんぼの時に隠れたり(幼少時)、自動車のタイヤを突っ込んだり(最近)と色々なことに使えてしまう、あの「溝」です。
今日、東京では夕方に土砂降りの雨が降りました。近年、日本の気候が亜熱帯になりつつあるんじゃないかなと思うくらいです。絶対に地球の環境は壊れていっていると感じます。それはともかくとして、雨が降って1時間も経つと日本では大体水は何処かに捌けてしまいます。町中や道路に水たまりが残り続けることは稀ですね。
これって当たり前だと思っているでしょう。実は違うのです。あれは溝や下水道があるから可能なのです。世界には溝のように町中にある水捌けのシステムを有しない場所がたくさんあります。あまり雨の降らない地域や貧しい国です。
昔、イランのテヘランという街に行ったときのことです。偶然、日本だったら普通の雨が降ったのですが、テヘランには水捌けのシステムが存在しない上に、街が山の側面に沿っているため、街の高い地点(北部、高級住宅街)から低い地点(南部、貧困層が多い)に向けて、道路の上をシャーーーと水が流れていくのです。坂の上から水をばらまいたように道路の上を水が流れていき、その水は南部の貧困層の地域に溜まってしまいます。すると、想像できるとおり溜まった水は色々な菌等の温床になってしまう、雑に言うとこういう構図なわけです。大体、中東の国では何処も事情は似ています。
昔、アフリカに居たときもそうでした。マリという国に出張したときのことです。直前に雨が降ったため、街中に大きな水たまり(というか、既に池のようになっているところもあった)が散見されました。その状態になると、ランクルやパジェロで行かないと車がエンコしてしまいます。しかも、湿度が高いのでなかなか蒸発せず、ご多分に漏れずボウフラやマラリア蚊の温床になっていました。まあ、子どもたちはその水たまりの中で楽しそうに遊んでいましたけど。
そうやって考えると、実は日本のように溝が充実していて、雨が大量に降ってもいつの間にか何処かに水捌けがなされてしまうというのがありがたいことなのです。雨上がりの街を、溝に感謝しながらブラブラしました。
(追記)ちなみに、私はアフリカにいた時、雨期にもかかわらず夕暮れ時に短パンで歩いていたら、マラリア蚊に刺されてしまい、その後とんでもない目に遭いました。40度近くまで体温が上がり、治療のために股に極太の筋肉注射(これは泣けた)と、それはそれは辛かったです。顕微鏡で見たプレパラート上にキラキラ光るマラリア原虫の卵は今でも忘れません。外務省の同期でもマラリアに罹ったのは私だけでした。その後も、献血は断られる、骨髄ドナー登録も断られる、「伝染するんですか」と言われ避けられる等、まあ、ひどい目に遭っています。